Experiments of Actin

『インディーズ候補』(泡沫候補)の特徴的な選挙活動を中心に少し変わった選挙、政治関係の話題を取り上げているブログです。

郡昭浩の選挙公報(2016年衆議院選 京都3区補選 他4選挙)

今回は2016年4月24日に投票が行われた衆議院選 京都3区補選(京都3区は京都市伏見区向日市長岡京市大山崎町がエリア)に立候補した郡昭浩を紹介します。

郡昭浩は愛媛県松山市の人物で地元である衆議院選の愛媛1区や参議院選愛媛県選挙区に立候補しているインディーズ候補ですが、なぜか、今回は地元を離れて、遠く離れた京都の選挙に立候補しています。

まず、今回の選挙の話の前に今まで立候補した2009年と2012年の衆議院選 愛媛1区、2010年と2013年の参議院選 愛媛県選挙区のときの選挙公報を下に示します。

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いずれも手書きで見た目も強烈ですが、内容もなかなか強烈です。例えば、一番下の2013年の参議院選の時の選挙公報では上半分を使い当時のNHK大河ドラマの「八重の桜」の内容の批判をしています。ただ、一方では所得に応じて消費税の減税パスや免税パスの配布を提言するなど、まともな内容も見られます。

さて、それでは下に今回の2016年衆議院選 京都3区補選の選挙公報を示します。

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今回も手書きで見た目が強烈ですが、今回も内容も強烈でした。まず、左半分の部分に注目してみましょう。この部分では「午後1時47分。2016年4月7日 私 コオリ昭浩は伏見区役所(鷹匠町39番地の2)の総合案内の前のホールの飲食禁止のテーブルについて、この選挙公報を、自筆で書いています」という細かい日時と場所まで示して、選挙公報を書いている環境を記しています。そして、「伏見区っていい街じゃネエカ」と伏見区をほめ、前任者であり、不祥事で辞任した宮崎謙介を「アホじゃ」と批判。その後、伏見区の良いところを具体的に述べて、「こういう街の国会代表になれたら、イイナア…」と当選への意欲を示しています。そして最後に「午後2:12」とこの左半分を約25分かけて記載したことを記しています。

次に右半分に注目します。「しかし、それはサテオキ……」とはじまり、「午後2:13 2016.4.7」と記して、左半分を書いた直後に右半分の執筆に取り掛かっていることを記しています。この右半分では自民党の党内議論の低調ぶりは目に余る」と記し、現在の自民党の体質に関して、多様性が足りないとして批判しています。このような自民党批判の後に公約を記載していますが、「谷垣さんを総理、石破さんを幹事長、新次郎君(小泉)を震災復興・北方担当・日本創生担当大臣とするよう、私は動くだろう」と自民党の関係者でもないのに、何故か自民党の人事に関することを公約とし、それ以外に関しては「コマゴマとしたことは選挙期間中あるいは当選後語るとして」と選挙公報中では記載がありませんでした。そして、最後には「2016.4月7日 午後2:24 あきひろ」と記載し、この右半分を約10分で書き上げたことを記しています(なお、左半分と合わせるとこの選挙公報は合計40分弱で書き上げています)。

また、この選挙公報では過去の選挙公報と異なり、自分の名前を大きく記載しておらず、最初の部分に記載した「私 コオリ昭浩は~」という文中のみにしかフルネームが記載されていないのも注目するところです。

このような個性的な選挙公報を今回も示した郡昭浩ですが、得票数370票(総有効投票数99,426票、無効票4,221票)で6人中6位で落選*1という結果に終わってしまいました。

夏コミサークル参加決定のお知らせ(2016年, C90)

コミケ当落発表の季節ですが、私がメインで運営をやっている、サークル「国民補導聯盟」夏コミ(コミックマーケット90)に受かりました。

今回のスペースは8月14日(日: 3日目)東ペ18bとなります(web版のコミケカタログのサークル情報はこちらを参照してください)。

今回は新刊も予定している他、以下の既刊の頒布を予定しています。

また、完売しました『補導聯盟通信 アーカイブス』ですが、これに関しては『補導聯盟通信 2011年冬号』に掲載しました「伝説の桑絹村長選」の部分を抜粋した本の発行を予定しています(『補導聯盟通信 2011年夏号』に掲載したインディーズ候補に関する記事は現在、当ブログで公開しています。)。

新刊の詳細等決まりましたら、「国民補導聯盟」のページと当ブログ、web版のコミケカタログにて告示させていただきますので、よろしくお願いいたします。

選挙ドットコムさんに寄稿しました(テーマ: 3日町長事件)

選挙情報サイトの選挙ドットコムさんに以下の記事を寄稿しました。

go2senkyo.com

この記事は地方自治体の首長が自ら辞職して、辞職に伴う選挙で当選した場合は任期は選挙がなかったものとして扱うという公職選挙法の規定により、選挙後の任期が3日間しかなかった町長の話です。

なお、今回の記事中で紹介できなかった補足情報です。

まず、この下郷町ですが、この桜木町長が当選する前の町長選は僅か8票差で町長が決まっており、かなり町の対立は激化していたりしていました。

そして桜木町長のリコール投票が1986年11月の町長の任期満了直前に設定された理由ですが、これは1985年1月にリコール請求の署名を集めて、提出したものの、町の選挙管理委員会が署名に重複があるという理由でリコール請求を認めず、裁判にもつれ込み、リコール請求認定まで約1年かかったという事情があったりします。

さらにメインの選挙の補足です。今回は幸いにも(?)任期切れの前に投票日を設定できたものの、地方自治体の首長の辞職に伴う選挙の投票日が辞職した首長の本来の任期満了日後に設定され、その選挙に辞職した首長が当選してしまった場合、当選しても任期が残っていないとされ、首長に就任することはできなかったりします(当然、このようなケースは今まで皆無です)。

また、もう1つ、今回の選挙で起きた面白い事例として、任期満了に伴う選挙は基本的に任期満了前の30日以内に行うことが公職選挙法で定められていますが、今回の2回目の選挙の様な任期満了後でないと選挙が実施できないというケースが想定されておらず、この時は死亡や辞職等で首長が欠けた場合の規程を準用していました。

そして、最後にこの桜木町長のその後ですが、収賄罪の裁判は最高裁までもつれ、1990年に執行猶予付き懲役刑と追徴金の判決が確定したものの、公民権が停止されなかったため、2001年に本当に辞職するまで、村長の座に君臨しつづけていました。

なお、今回の参考文献情報は以下の通りです。

・e-Gov 法令データ提供システム
・町長汚職に揺れる福島県下郷町, とうほく財界, 1984, 10(10), 29.
・肉薄レポート 桜木左久雄町長逮捕に衝撃走る下郷町 背景に根深い町長派・反町長派の対立, 財界ふくしま, 1984, 13(10), 150.
・菅原征彦, 揺れる下郷町 異例づくめの福島県下郷町長選, 地方自治ジャーナル, 1987, 8(98), 26.
汚職桜木町長 リコールに先手 辞職願を提出 福島・下郷町, 朝日新聞, 1986-10-05 朝刊, 23.
・リコールに肩すかし 辞職前町長がまた立候補 福島・下郷町, 朝日新聞 1986-11-04 夕刊, 14.
・西野芳明, 不可解の極み 被告町長再出馬 福島・下郷町, 読売新聞, 1986-11-04 朝刊, 9.
・三日天下町長 汚職-再選-任期12日まで, 毎日新聞, 1986-11-10 夕刊, 10.
・リコール拒み辞職の町長 出直し選挙で当選 任期わずか3日間 福島・下郷町, 朝日新聞, 1986-11-10 夕刊, 15.
・"三日町長"に懲役2年求刑 福島の汚職事件 任期切れの日, 毎日新聞, 1986-11-12 夕刊, 10.
・西野芳明, "三日町長"第2ラウンド 町民意識はどう変わる, 読売新聞, 1986-11-21 朝刊, 9.
・3日町長 任期終え再び出馬 福島・下郷町, 朝日新聞, 1986-11-25 夕刊, 18.
・"3日町長"また当選, 毎日新聞, 1986-12-01 朝刊, 22.
・大友君郎, "三日町長"三選の背景, 読売新聞, 1986-12-02 朝刊, 9.
・高橋俊一, 記者の目 「三日町長」は日本の縮図 福島県下郷町汚職事件, 毎日新聞, 1986-12-13 朝刊, 4.
・"三日町長"に有罪「控訴する 辞めぬ」, 朝日新聞, 1987-03-12 朝刊, 23.
・"三日町長"再び有罪 福島・下郷の土木汚職, 朝日新聞, 1988-08-04 朝刊, 26.
収賄罪で有罪確定の桜木町長が4選 福島・下郷町, 朝日新聞, 1990-11-19 夕刊, 18.
・桜木左久雄町長が無投票6選 下郷町長選/福島, 朝日新聞, 1998-11-11 朝刊 福島版.
桜木町長が辞職願提出, 朝日新聞, 2001-08-22 朝刊 福島版, 27.
・桜木左久雄氏 死去, 朝日新聞, 2001-11-16 朝刊 福島版, 31.