Experiments of Actin

『インディーズ候補』(泡沫候補)の特徴的な選挙活動を中心に少し変わった選挙、政治関係の話題を取り上げているブログです。

新潮新書から「ヤバい選挙」という本を出すことになりました(6/17発売)

この度、Actinではなく宮澤 暁 名義にて、新潮社さんの新潮新書から「ヤバい選挙」という本を出すことになりました。発売日は6月17日で価格は税込814円とお求めやすい価格となっています。新潮社さんのサイトの説明およびamazonの紹介ページは以下の通りです。

www.shinchosha.co.jp

ヤバい選挙 (新潮新書)

ヤバい選挙 (新潮新書)

  • 作者:宮澤 暁
  • 発売日: 2020/06/17
  • メディア: 新書

この「ヤバい選挙」ですが、1960年の桑絹村の村長選の大量立候補事件や1963年の東京都知事選で立候補者が戸籍上死亡していた事件、戦後しばらくの間、青ヶ島村は国政都政の参政権がはく奪されていたなどの9つの選挙に関する変わった事件・トピックスを扱っています。扱っている事件・トピックスについては、以下の目次を参照してください(上記のamazonの紹介ページでも見ることができます)。

はじめに

第1章 死人が立候補した都知事
選挙中に急死した首相/橋本勝は死んでいた「/自分を陥れる謀略」
1963年の事情/泡沫候補たちの目的「/阪本勝」と「橋本勝」をよく見ると
上のクラスの真の黒幕が」/幽霊候補の正体は/

第2章 267人もの立候補者が出た村長選
前代未聞の大量立候補事件/「絹村」の分断/茨城県からの場外援護
「納税を拒否して、絶縁する」/総理任命の調停委員会/大量立候補者という戦術
立候補者たちの顔ぶれ/開票結果は/驚きの水攻め/完全な行き詰まり

第3章選挙前に人口が増える「架空転入」の村
選挙人名簿への登録/架空転入はオウム真理教も/過疎の栗山村で不審な動き
居住実態を調査/村民の異議申し立て/ホテル経営者は村長の妻
これほど横行する理由/選挙が無効になった虎姫町議会選挙/2つの裁判の結果
町議会の最後の抵抗

第4章 投票所が全焼、水没、連絡が取れない……
投票は何時まで ?/朝6時から投票できる島/繰延投票/飯田市市街地が燃えた
候補者たちが「延長戦」へ「/予定通りの投票が不可能」/県選管vs自治省
流木や岩石にまでポスターが/泳いで辿り着いた70代男性/決め手は投票率
バキュームカー、ダンプカーまで

第5章 選挙権が剥奪されていた島
東京都でも青ヶ島だけは/人口170人の孤島「/島の人だって日本人なのに」
学術調査団がやってきた/無線電話に「ぶったまげた」/晴れ着で投票所へ

第6章 書類送検、辞職で議員がゼロに
保守分裂の市長選/麻痺状態の平川市議会/津軽選挙/太宰治の兄が衆院選
鰺ヶ沢町の2人町長事件/議員がいなくなった小菅村/村政初の女性候補

第7章 450万で立候補を取りやめさせる
無投票工作とは何か「/金がもうない」ので……/誰の目にも明らかな
前議長による暴露

第8章 無言の政見放送が流れた参院選
「そのまま放送しなければならない」/東郷健政見放送削除事件
国とNHKに損害賠償請求 /2016年のある都知事選候補/聾者の参政権
TBSラジオの善意と行き違い/視聴者から抗議殺到/課題は残る

第9章 選挙で荒稼ぎする方法
「ほめ賃」「けなし賃」をもらう/供託物没収点/選挙はがきを横流し
広告代理店からリベート/泡沫候補が選挙を乱す/供託金を値上げせよ

おわりに

参考文献

なお、「ヤバい選挙」で紹介した事件・トピックスは同人誌やウェブ媒体などで紹介したものもありますが、この「ヤバい選挙」では大幅にアップデートしています。例えば、1960年の桑絹村の村長選の大量立候補事件については、桑絹村長選の数か月前に同じ栃木県内の地方議会選で桑絹村と似たような理由で100人以上の立候補者が出たという、今まで紹介したことのない情報を記載しています。

本書は今までの私の変わった選挙事件研究の集大成的な本となっています。ご興味がございましたら、ご購入いただけますと、幸いです。

なお、ここのところ、選挙関係の新しいトピックスの紹介が鈍っていたのは、この本の作成作業があったためです。作成作業が終わりましたので、新しいトピックスの紹介については本の作成作業以前のペースに戻りたいと思っております。

神田敏晶の選挙公報(2007年参議院選 東京都選挙区, 2015年練馬区議会選)

(この記事は同人誌『補導聯盟通信 2015年夏号』に掲載した文章を加筆、再編集したものです)

2015年の統一地方選には過去の特色あるインディーズ候補が立候補していたこともあります。例えば、中野区議会選に立候補していた西野貞吉はその良い例です。

actin.hatenablog.com

今回の記事で紹介するのは神田敏晶です。神田敏晶はITジャーナリストとして、ネットを使った放送局を作るなどの活動をしている人物ですが、2007年7月30日に投票が行われた参議院選 東京都選挙区から立候補しました。

f:id:actin:20200229194123j:plain

選挙公報を上に示しましたが、この2007年の時代から、ネットを使った選挙を解禁するようにと当時としては先進的な訴えをしています。そして「ドブ板選挙」から「インターネット選挙」に変えて、お金を節約するということを述べています。このほか、政治を「見える化」することや誰でも政府のデータにアクセスできるようにするために横断的な「検索エンジン」を、と訴えていました。

この時の選挙結果ですが、得票数11,222票(総有効投票数5,909,515票、無効票131,042票)で20人中15位(定数5)で落選という結果に終わってしまいました。

その後、神田敏晶は選挙活動から距離を置きましたが、2015年4月26日に投票が行われた東京都の練馬区議会選に立候補し、約8年ぶりの選挙となりました。

f:id:actin:20200229194202p:plain

この時の選挙公報を上に示しました。2007年の選挙の時に訴えていたネット選挙が解禁されたことから、今回は政治とカネの関係について、政策を提示していました。また、コンピュータ絡みの政策も全面ではないものの、記載されており、IT化で合理化・無理・無駄・妥協・癒着をなくすということや政治参加しやすいプラットフォームを作ることを記しています。

この練馬区議会選の結果ですが、得票数537票(総有効投票数238,700票、無効票5,046票)で70人中68位(定数50)となり、今回も当選はできませんでした。

関口和男の選挙公報(2015年古河市議会選、2016年古河市議会補選、2019年古河市議会選)

(この記事は同人誌『補導聯盟通信 2015年夏号』に掲載した文章を加筆、再編集したものです)

どのような経歴を持っていても、日本国民で、規定された年齢以上で、公民権が停止されている状態でなければ、選挙に立候補する資格はあります。このため、ときたますさまじい経歴を持っていることを明かす候補はいます。例えば、2015年の小山町議会選に立候補した岩田たにいずみは前科二犯である旨を選挙公報に記載しました。

actin.hatenablog.com

今回紹介する2015年4月26日に投票が行われた茨城県古河市議会選挙に立候補した関口和選挙公報に衝撃的な経歴を示しました。

f:id:actin:20200227235021p:plain

選挙公報を上に示しました。大きく「自己破産からの挑戦!」と衝撃的な文言が書かれているのが目につきます。自己破産すると選挙権や被選挙権といった参政権がなくなるという都市伝説的なデマがありますが、このように自己破産をしていても、選挙に立候補することができます。

この衝撃的な文言の後には「最後の聖戦!」とまたインパクトが強めの文字列が記載されています。この後の文章を読み進めてみましょう。活動を始めて1年半になったとのことですが、1月になってから派手な接待や高価な贈り物が始まったという話を聞いたことを記しています。そして、お金のある人や知名度の高い人、親戚の多い人を特権階級とし、この特権階級だけで政治が動かされているのであれば、独裁政治と同じであると厳しく批判しています。そして、一般市民が立ち上がるべきとし、「最後の聖戦」として「政治を変え、選挙を変え、平等で安全な古河市を子供たちに残すこと」ということを訴えていました。

このように自己破産をしたという衝撃的な告白をした関口和男ですが、結果としては得票数406票(総有効投票数58,875票、無効票980票)で34人中31位(定数24)で落選という結果に終わっています。

しかし、関口和男はこれで終わりではありませんでした。約1年半後の2016年11月27日に投票が行われた古河市議会補選に立候補したのです。

f:id:actin:20200228002528j:plain

この時の選挙公報を上に示しました。前回のように自己破産の文言はなくなっただけではなく、今回は具体的な政策を複数提示するなど、議員になったらどのようなことをするかというが分かる選挙公報となっています。

このような選挙公報となった関口和男ですが、得票数4,713票(総有効投票数50,645票)で、6人中5位(定数1)と落選はしたものの、健闘しています。

そして、関口和男はさらに2019年4月21日に投票が行われた古河市議会選にまた立候補しました。この時の選挙公報は下に示したように市議会補選の選挙公報から政策を少し減らし、代わりに略歴を記したものになっています。

f:id:actin:20200228002555j:plain

この時の選挙結果ですが、得票数682票(総有効投票数51,542票、無効票810票)で、27人中26位(定数24)で落選という結果に終わっています。