Experiments of Actin

『インディーズ候補』(泡沫候補)の特徴的な選挙活動を中心に少し変わった選挙、政治関係の話題を取り上げているブログです。

選挙ドットコムさんに寄稿しました(テーマ: 戦犯と選挙をめぐる話)

選挙情報サイトの選挙ドットコムさんに以下の記事を寄稿しました。

go2senkyo.com

日本は第二次世界大戦(太平洋戦争)に敗戦後、連合国によって極東国際軍事裁判が開かれ、戦争犯罪の容疑者が裁かれました。この極東軍事裁判で有罪となった日本国籍戦争犯罪人には当初、選挙権や被選挙権はありませんでしたが、平和条約締結後、これらの諸権利は復活しました。この選挙に関する諸権利の復活によって、戦犯は投票ができるようになりました。さらに驚くべきことに収監中の戦犯には被選挙権もあったので、戦犯を立候補させようとする動きも現れたのです。今回はこのような戦犯と選挙をめぐる話を紹介しています。

なお、今回の参考文献情報は以下の通りです。

・東條らの一票は?, 読売新聞 1946-04-10 朝刊, 2.
・軍裁処刑者の選挙権復活, 読売新聞 1952-05-28 朝刊, 3.
巣鴨戦犯にも選挙権, 毎日新聞 1952-08-30 夕刊, 3.
・戦犯に選挙権, 読売新聞 1952-08-31 朝刊, 1.
・教委に戦犯推薦 長崎 巣鴨出所を問合せ, 読売新聞 1952-09-25 朝刊, 7.
巣鴨戦犯を教育委員に 南高南串山村 全村挙げて推薦を決定, 長崎日日新聞 1952-09-25 朝刊, 2.
巣鴨から立候補 南串山村教委に寺田氏, 長崎民友 1952-09-25 朝刊, 2.
A級戦犯も”清き一票” きょう巣鴨で不在投票, 朝日新聞 1952-09-25 夕刊, 3.
・元将軍たちもニコニコ けさ 早くもスガモで投票, 毎日新聞 1952-09-25 夕刊.
・戦犯推薦”辞退”でけり 村教委に南串山村の申合せ, 朝日新聞 1952-09-26 朝刊 佐世保版, 6.
・寺田氏立候補を辞退 南串山村 巣鴨戦犯・村教委問題, 長崎日日新聞 1952-09-26 朝刊, 3.
・戦犯の教委立候補を辞退 選管委側は不明朗の断下す, 長崎民友 1952-09-26 朝刊, 1.

広瀬栄の選挙公報(2019年下妻市議会選)

今回は2019年12月8日に投票が行われた茨城県下妻市議会選に立候補した広瀬栄*1を紹介します。

当ブログでは以下に示したように、一文程度しか記載していないような余りにもシンプルすぎる選挙公報をいくつか紹介しました。

actin.hatenablog.com
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このような余りにもシンプルすぎる選挙公報はいわゆるインディーズ候補と呼ばれるような候補者だけと思われますが、実は上のリンク先でも示したように現職もこのようなシンプルすぎる選挙公報を出していることもあります。今回紹介する広瀬栄も現職ではありますが、余りにもシンプルすぎる選挙公報となっています。

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今回の広瀬栄の選挙公報を上に示しましたが、名前と顔写真以外は単に「和以為貴」(和を以って貴しと為す)ということしか書いておらず*2、具体的な政策が全く書いてありません。

このような名前と顔写真以外は漢字四文字のみというシンプルすぎる選挙公報を示した広瀬栄ですが、得票数は917票(総有効投票数19686.999*3、無効票184票)で23人中8位(定数20)という上位で当選をしています。

*1:茨城新聞では広瀬栄選挙上の届出は広瀬さかえという表記ですが、選挙公報では廣瀬榮と表記されており、本名はこちらの表記が正しいと思われます

*2:なお、「和を以って貴しと為す」というのは、日本書紀に記載されている原文を見る限り「以和為貴」という表記が正しいようですが、現在は「和以為貴」という表記も見られるようです

*3:案分票切り捨て0.001票

吉田敏彦の選挙公報(2019年盛岡市議会選)

今回は2019年8月25日に投票が行われた岩手県盛岡市議会選に立候補した吉田敏彦*1を紹介します。

選挙運動は様々なものがありますが、演説は基本的な選挙運動の一つです。また、選挙公報も選挙運動の一つですが、これは紙に印刷されるものであり、演説とはまた違った性質を持ちます。具体的な違いを挙げるとすれば、演説は選挙公報とは違い、言葉の調子や動きといった要素がありますし、選挙公報は演説と異なり、紙として残って何度も見返すことができるため、演説より複雑なことを伝えることに適しています。このように演説と選挙公報は別々の性質を持ちますが、今回紹介する吉田敏彦は選挙公報上で演説的なものを取り入れた候補です。

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選挙公報を上に示しました。左の枠の中に文章が記載されていますが、最初の部分の※印のところは「以下について、声を知り上げる事無く、太字の部分を強調して普通に話しかける口調でお願いできればと思っています。尚()内は、副音声です。(読み上げる所要時間は、1分15秒から1分45秒を想定しています)」と記載されています。そして、この文章の下には「皆様、(左から右へ首を振ってから)こんにちは。(2秒間、礼)」と記載されています。つまり、この選挙公報は動きも含めた演説の原稿となっており、これを読み進めることで有権者は演説を想像できるようになっているのです。

さて、この演説原稿となっている選挙公報を読み進めてみましょう。まず、東日本大震災の犠牲者へのお悔やみを述べ、4秒間黙礼をします。そして、被災者に対してもお見舞いの気持ちを述べ、3秒間目礼をします。そして、「と」という文字を強調し、「とうほく大好き」ということと自分の名前を述べ、一票のお願いと自身の政策を述べます。

その政策は盛岡をさらに良くすること、憲法を護ること、私利私欲のない姿勢で仕事をしていたのでそれを貫くことを述べています。そして、政策を述べた後は「(目線を最後列の左から右、次に最前列の左から右へ配ってから)」と視線を動かして、「何卒、宜しくお願い致します」と述べて、3秒間礼をして、「以上です」と述べて終わっています。

このように動きを含めた演説の原稿を記載し、読む人に演説の様子を想像させるという極めて珍しい形の選挙公報を示した吉田敏彦ですが、得票数203票(総有効投票数123,573.994*2、無効票3,604票)で44人中44位(定数38)という結果に終わってしまいました。

*1:選挙の届け出では「よしだ としひこ」となっており、選挙公報でもこのようにきさいされていますが、岩手日報では「吉田 敏彦」と記載されています

*2:案分票切り捨て0.006票