Experiments of Actin

『インディーズ候補』(泡沫候補)の特徴的な選挙活動を中心に少し変わった選挙、政治関係の話題を取り上げているブログです。

岩川ひとしの選挙公報(2011年練馬区議会選)

(この記事は同人誌『補導聯盟通信 2011年夏号』に掲載した文章を再編集したものです)

「XXチルドレン」という用語があったことを覚えている方は多いと思います。このXXには小泉や小沢といった、当時の自民党民主党の有力者の名前が入っていました。つまるところ、この「XXチルドレン」はこれらの大物政治家の庇護や人気のもとに当選し、陣笠議員的に活動している若手議員を指します。

この「XXチルドレン」は一般的には国政、それも当選した議員に対して与えられる言葉ですが、地方選挙である2011年4月24日に投票が行われた練馬区議会選にこのような「XXチルドレン」を名乗って立候補した岩川ひとしという人物がいました。しかし、この時に名乗ったXXチルドレンは前述した小泉チルドレン小沢チルドレンと大きく異なり、そのXXに当てはまる人物が(ある意味大物ですが)大物議員やドンなどの政界の有力者ではなかったという点です。

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岩川ひとしの選挙公報を上に示しました。立候補者が多い議会選ですので、そのスペースは知事選や都道府県議選と比較するとサイズは小さいです。しかしながら、その小さいサイズの中にドクター・中松チルドレン」という誰も予想できなかったドクター中松の名前が書いてあります。実はこのドクター・中松チルドレンですが、勝手に岩川ひとしが名乗ったものではなく、ドクター中松が2007年に辺りに結成した組織で"DNC"なる略称までありました。この「発明政治」以来のドクター中松政治団体はその結成後、特に動きも見られなかったようで、どうやらこの岩川ひとしが選挙への立候補という目立った政治活動を行ったドクター・中松チルドレン第1号のようです。

このように「ドクター・中松チルドレン」を名乗ってはいるものの、選挙公報の他のスペースを注目しても、ドクター中松的な発明やそれに類する主張は無く、ドクター・中松チルドレンとしての特色ある政策がこの選挙公報からは見られないのは個人的には残念だと思います。

なお、ドクター・中松チルドレンである岩川ひとしの立候補についてドクター中松本人のウェブサイトやtwitter、ブログ等において何ら言及されていなかったため、2007年に結成された「ドクター・中松チルドレン」は休眠状態であり、もしかしたら岩川ひとしの活動をドクター中松が把握していない可能性があるのではないか、という疑惑が2011年夏の同人誌の執筆時にはありました。ただ、これに関しては2015年統一地方選において、目黒区議選と世田谷区議選、豊島区議選に1名ずつ(計3名)「ドクター・中松チルドレン」を名乗る候補者が立候補し、これらのチルドレンたちの選挙活動をドクター中松が応援していたことから、「ドクター・中松チルドレン」という組織自体はこの2011年の時も生きている可能性が高いことが推測されます(これらの2015年統一地方選でのドクター・中松チルドレンの政治活動と組織の詳細に関しては「補導聯盟通信 2015年夏号」で紹介しています)。

このように「ドクター・中松チルドレン」という衝撃的な名乗りを上げた岩川ひとしですが、選挙結果は得票数277票、68人中66位(定数50)で落選してしまいました*1また、岩川ひとしは2014年の練馬区議会補選にも立候補していますが、この時は「ドクター・中松チルドレン」を名乗らずに立候補していることを付記しておきます(得票数5,353票 7人中6位で落選)*2

(2017年9月30日追記: 2015年統一地方選におけるドクター中松チルドレンの活動について紹介した記事を公開しました。以下のリンクを参照してください)

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