Experiments of Actin

『インディーズ候補』(泡沫候補)の特徴的な選挙活動を中心に少し変わった選挙、政治関係の話題を取り上げているブログです。

中村勝の選挙公報(2013年堺市議補選 南区選挙区)

2013年9月29日に堺市長選と市議補選が行われましたが、この選挙は地方選としては非常に白熱した選挙戦となりました。

具体的な政策等の論争はマスコミ等で取り上げられて、有名なので、ここでは詳しく記しませんが、大阪府大阪市、そして今回焦点の堺市を併せて「大阪都」を作ろうとする大阪維新の会の候補とそれに反対する現職との一騎打ちになりました。今回の選挙の特色として「大阪都」構想という、一般の市長選クラスの地方選ではみられない特殊な政策の是非を巡った選挙戦の他にも、現職が民主党の推薦、自民当の支持、社民党の独自支援というだけではなく、共産党までもが独自支援という形に回ったという事が挙げられます。この選挙において、現職勢力は「堺はひとつ!堺をなくすな!」というスローガンを掲げて戦い、最終的には198,431対140,569で現職が勝利を収めました*1

ここで、このようなメジャーな話題は置いておいて、当ブログ的な、いわゆる、インディーズ候補的に堺市に注目すると、堺市で活動しているインディーズ候補中村勝が思い浮かびます。中村勝は当ブログでは2011年大阪府知事選2012年衆議院選 大阪16区で立候補した際に取り上げていますが、「二十一世紀日本維新会」なる「維新の会」と紛らわしい名前の政治団体を旗揚げし、どうも、有権者が「維新の会」の候補者と間違える事を狙っているような選挙戦術を採用しているというなかなか素敵な候補です。詳しくは当ブログの記事を参照してほしいのですが、この戦術は2011年の大阪府知事選では失敗したものの、2012年の衆議院選では維新の会の候補者が大阪16区で立候補しなかった事から、得票率が10%を超えるという、かなり高い得票率を示しています*2。このように堺市で独自の戦いを続けている中村勝ですが、今回は堺市議補選南区選挙区に立候補していました。

さて、前置きが長くなりましたが、今回の中村勝選挙公報を下に示します。

大きく「堺はひとつ!堺を無くすな!」という文字が目につきます。また、今まで「二十一世紀日本維新会」と書いてあった名前付近のスペースにも「堺はひとつ」と書いてあり、中村勝が「大阪都」構想に反対している事が見て取れます。しかしながら、前述したように「堺はひとつ!」というスローガンは現市長派のスローガンで、他の候補者が自民、共産、維新という顔ぶれであり、他の選挙区の自民候補に「堺はひとつ!堺を無くすな!」というスローガンが選挙公報で見られた事等を考えると、中村勝が現職派の支援を受けている可能性はかなり低く、今までの行動の点から、今回は維新の会ではなく、現市長派が支援している候補であると有権者に間違わせ、票を得ようとしている可能性がかなり高いと思われます(もちろん、純粋に賛同し、勝手連的に使ったという可能性も無いわけではありませんが)。

このように今回もなかなか素敵な戦術を採用したと思われる中村勝ですが、2011年の大阪府知事選2012年の衆議院選と同様、政策的には突飛な事を言っておらず、このような点も多少面白い点と思います。

そして、肝心の選挙結果ですが、下表*3の様になり、得票率8.6%と前回の衆議院選ほどではありませんが、現市長派の支援を受けていると有権者に思われた事の効果なのか、かなり健闘した事が分かります。しかしながら、このように、今回は「二十一世紀日本維新会」の名を捨てて、無所属で立候補しましたが、次回以降の選挙では再び「二十一世紀日本維新会」に戻るのか、それとも、別名で立候補するのか、この点もかなり気になる所ですね。

的場 慎一 維新 28.738(45.4%)
信貴 良太 自民 17,280(27.3%)
堀内 正雄 共産 11,777(18.6%)
中村 勝 無所属  5,466(8.6%)

*1:http://sakaisenkyo.jp/data/kaihyo_data_10.html

*2:なお、このような多少ダーティな戦術を採用していると思われる一方、中村勝はあの『映画「立候補」』にも出ており、この映画では子煩悩な姿を見ることが出来ます

*3:http://sakaisenkyo.jp/data/kaihyo_data_12.html