Experiments of Actin

『インディーズ候補』(泡沫候補)の特徴的な選挙活動を中心に少し変わった選挙、政治関係の話題を取り上げているブログです。

中川智晴の選挙活動(2014年東京都知事選)

遅れましたが、今回は2月9日に行われた東京都知事に立候補した中川智晴を紹介します。この中川智晴は以前、当ブログで立候補会見を紹介しましたが、当選しても落選しても当初立候補するつもりだった京都府知事選に立候補するとか、自分は国王であるとか、「トップガン政治 from Nakagawa」というマニフェストを提示し「どんぶり勘定政策」と称する「良い人には補助をするけど、悪い人は潰す。財産を没収する」「壊す人には-100億円とか、東京都が勝手に判断して預金通帳を-100億円にする」という政策を言い出したりとか、余りにも衝撃的すぎる内容で、その会見内容は局地的に話題になりました。

それではこの話題の新人である中川智晴の選挙公報を下に掲載します。

シンプルに二つのエリアに分かれていますが、まず、上の方から見てみましょう。最初にhttp://www.nnakagawaa.com/を参照してくださいマニフェストが掲載されます」と書いてあり、政策の詳細はウェブで見て欲しいと訴えていますが、残念な事に現在、このマニフェストの内容は削除されており、現在、閲覧する事はできません(その代り、何か不可解な言葉が掲載されています)*1このマニフェストには自分が国王であるという宣言や自分の政策を実行できなければ都職員や都民の勝手に財産を没収する「どんぶり勘定政策」、都議会の進行を円滑にするために酒を飲みながら議会を行う「酔拳議会」などのすさまじい内容が書かれていただけに削除されたのが非常に残念な所ですが、立候補表明時にある程度完成されており、当ブログの立候補表明時の記事でこのすさまじい政策の詳細を一部紹介しています。そして、このウェブページにはマニフェストだけではなく選挙公報のカラー版等が掲載されている事も述べられていますが、この内容が実際に掲載した選挙公報とはかなり異なっていました。なお、こちらの選挙公報とおそらく新聞広告と思われるページも現在は消されていますので、下に示します。

選挙公報的なものにはサイボーグ009が、新聞広告的なものには009より2つ小さい007のジェームズ・ボンドが大きく掲載されているだけではなく、「新東京都知事」と既に当選したかのような文言が書いてあります、さらに双方とも自分の顔写真の所に「国王」と書いてあり、かなり衝撃的な内容になっています。おそらく、これらはサイボーグ009と007の版権的な問題があって、掲載ができなかったのではないかと推測されますが、これらが削除されたのはマニフェストと併せて非常に残念なところです。

通常の選挙公報に戻り、上のエリアを読み進めてみると、この中川智晴のウェブページに掲載されていたジェームズ・ボンドの説明なのか、「新聞広告の国王 ジェームズボンドです」という謎すぎる言葉が出てきます。さらに読み進めてみると、以下のように書かれており、全文とてつもない内容になっています。

これらは悟りの境地『瞬時に正しい判断をする能力は至難の業で これを身につけることにより多くの人を助けよりよい社会を作ることができます』 それを子供にもわかりやすく また後世に残すため30年の人生をかけた研究を伝えるため サイボーグ009を登用し サイボーグ009の瞬間移動 から 『瞬間移動に正しい判断を身につける事』を連想させ 『瞬間瞬間に正しい判断をする能力を身につける事』を忘れないようにサイボーグ009を・・・ また 愛や 勇気や責任 繊細な女性の気持ちなどを表し それ自体も人にとって大切のものでプラスの感情・・ ジェームズボンドも 自分を伸ばす またしゃれ そういう余裕も最初からできることではないが・・・ できたら・・・ 今の時代に受け入れられない事ですが?・・・

サイボーグ009を登用」と衝撃的な事が書かれています。これはサイボーグ009の瞬間移動能力から瞬時に正しい判断ができるという連想に至る事が登用の理由であるようです。そして、このようなサイボーグ009の登用を訴えた上のエリアの文ですが、下のエリアもそれと負けず劣らずの内容となっており、下に全文を転載します。

人間の究極の状態はオーラを放ちすべてを救う 瞬間移動 瞬時 瞬時に正しい判断をしていく
天皇特殊部隊隊長 サイボーグ009 中川智晴が世界を救う 敢然と東京都知事に挑戦
トップガン政治 From Nakagawa で世界を救う 中川智晴はいい人ですそれを忘れないでほしい
東京オリンピック中止 政策に従わない場合東京都知事が告知なしで強制的に通帳からお金を引き落とした財産を没収します

兎にも角にも衝撃的な内容です。特に天皇特殊部隊隊長 サイボーグ009 中川智晴」と書いてある部分は天皇特殊部隊隊長という謎の肩書を持つ上に自身がサイボーグ009であるとも理解できる内容であり、余りにもとてつもなさすぎます*2。この他にも突然「中川智晴はいい人ですそれを忘れないでほしい」という謎の良い人アピールをしたり、政策に従わない場合は財産を没収するという「どんぶり勘定政策」を提示するなど、東京オリンピック中止」以外は息を付く暇を与えないすさまじい内容の選挙公報となっています。

さて、中川智晴のマニフェストが掲載されているサイトは現在、内容が消えていると前述しましたが、中川智晴はYouTubeでも政治活動しており、マニフェストとは異なり、4/6現在、まだこれらの動画は残っています。これらの動画はこのリンク先で見る事ができます。これらの動画はどうも都知事選のために滞在していたホテルで撮影したようで、昼間は大声で夜間は小声で収録しているのが、なかなか素敵です。そして、これらの動画は短い動画の他、2時間近い動画が2本存在します。これらの内、短い動画は選挙戦の振り返りと言った真面目な内容の他にも突然、叫びだしたり、AKBがレイプされているなどと言い出したりと色々とすさまじい内容になっています。一方、長い動画は消されたウェブサイトに掲載されていたマニフェストトップガン政治 form Nakagawa」を説明しており、マニフェストの詳しい内容を聞く事ができます。この動画を見てみると、淡々とした喋り方で色々とすさまじい内容を言っており、一聴の価値が十分あります。また、このすさまじい政策の他にも今回の東京都知事選に落ちても、次の選挙に出ると述べている点も注目です。さらに驚くべき点としては、長い動画もどうも休憩なしでしゃべり続けており、都知事選に賭ける意気込みがうかがえます。ただ、途中、大きなげっぷが見られるのは大きなマイナスポイントとは思いました。

また、これらの中川智晴本人があげた動画以外にも他の人が撮影した中川智晴の演説動画がYouTubeにあげられており、この内容もすさまじい内容となっています。

「中川!智晴!」と自分の名前を絶叫するのは選挙演説では特に珍しい事ではありませんが、それ以外の発言として、脈絡もなく突如「分かるかー!」と叫びだしたり、「拓哉!」「あなたの!DVD!」「優香!」等の良く分からない言葉を絶叫し、自分のマニフェストが掲載されているサイトのアドレスを絶叫する以外は政策がほぼ語られない異様な演説となっています。また、この絶叫以外にも注目すべき点としては、イヤホンを付けており、音楽に合わせているのか身体が揺れている事も挙げられます。なお、この演説動画ですが、どうも、大川興業の関係者が撮影していたようで、大川豊総裁のイベント*3でこの辺りの詳しい顛末を聞く事ができました。中川智晴は木村拓哉が好きなようで、この拓哉というのは木村拓哉の事で、「世界に一つだけの花」を聞きながら演説をしていたようです*4

なお、これ以外にも雑誌で中川智晴は取り上げられていましたが(プレイボーイの記事 ポストセブンの記事)、この内、ポストセブンの記事において、「雑誌に掲載してもらうには、お金が必要だと認識」していたようで、10万円を記者に渡すという、なかなか、とんでもない事もしでかしています。

このように久しぶりの超大物インディーズ候補である事を見せつけた中川智晴ですが、選挙結果も驚くべきものとなりました。東京都知事選には16名の立候補者がおり、この内、有力候補として扱われていたのは舛添、宇都宮、細川、田母神の4人で、準有力候補としては家入、ドクター中松、そして、彼ら2人からは多少離れてマック赤坂、鈴木の2人という状態でした。そして、中川智晴の結果ですが、これら有力、準有力候補以外の8候補の中で1位、つまり全体で言えば9位という誰も全く予想できなかったレベルの大健闘を見せ、国王の面目躍如という結果に終わりました。なお、得票数は4,352票(得票率0.089%)*5でした(参考:8位の鈴木達夫は12,684票、10位の五十嵐政一は3,911票)。

さて、中川智晴のその後の動向ですが、元々京都府知事選に立候補するつもりであったものの、急遽、東京都知事選が行われるという事で急遽立候補をしたという経緯があり、東京都知事選に当選しても、落選しても京都府知事選には立候補する予定であると宣言していた事は以前の記事でも当記事でも述べました。そして、京都府知事選は3月20日に告示され、この日に立候補が締め切られましたが、立候補者一覧に中川智晴の名はありませんでした。今回の京都府知事選回避は非常に残念な所ですが、次回都知事選に立候補するというような事をYouTubeにあげた動画で述べていた事から今後の政治活動にかなり期待したい所です。

*1:この他、中川智晴の経営している建築事務所のサイト中に2013年2月21日に発表したと思われる政治的な提案が掲載されています

*2:天皇の部下的な肩書を持っていますが、「トップガン政治 from Nakagawa」では、「本物の国王が、政策を政治活動、選挙運動の街頭演説だけで訴え、純粋な民意だけで、新東京都知事、中川智晴として、東京都民1300万人の幸せは私の政治にかかっています。これを考えず、私に口を出せば、たとえ、天皇陛下でも絶対許しません」と天皇に対して自分の邪魔をすると許さない的な事を書いています

*3:http://www.okw.co.jp/schedule/02.htmlの「大川総裁×竹内義和大放談!〜インディーズ候補から日本を読み解く〜」

*4:この他にもこのイベントではサイボーグ009の続編のサイボーグ010を作るように倉敷芸術科学大学に要請し続け、ある種の名物的な人物になっていたエピソード等、非常に面白い話が聞けました

*5:http://www.senkyo.metro.tokyo.jp/h26chijisokuho/h26chi_kai.html