Experiments of Actin

『インディーズ候補』(泡沫候補)の特徴的な選挙活動を中心に少し変わった選挙、政治関係の話題を取り上げているブログです。

小方蔵人と古川徹の選挙公報(2013年小平市長選)

2013年4月7日に行われた東京都の小平市長選ですが、この選挙に立候補した小方蔵人古川徹の2人を紹介しようと思います。今回の小平市長選は現職で民主、共産、社民、生活者ネットの推薦を受けた小林正則と自民、維新、公明、みんなの党の推薦を受けた永田政弘と前述した、小方蔵人と古川徹の4人によって繰り広げられました。今回の得票結果を下に示しますが、民主党系と自民党系の候補者がそれぞれ立候補しており、共産党も含めた他の政党は独自候補を擁立せず、この民主党系と自民党系の両候補の推薦をした事から、小林正則と永田政弘に票が集中し、小方蔵人と古川徹は票があまり取れなかった事が分かります。

小林 正則 無所属(民主、共産、社民、生活者ネット推薦) 33,106(61.85%)
永田 政弘 無所属(自民、維新、公明、みんなの党推薦) 19,108(35.70%)
小方 蔵人 無所属 837(1.56%)
古川 徹 無所属 475(0.89%)

さて、それでは、まず、小方蔵人の選挙公報を以下に示します。

小さい文字ながら、いきなり「現市政否定」という衝撃的な見出しで始まっているのが特徴的です。そして、その後に、急激に自治体の人口が減少する事を指摘しており、「継続30億円・無増税財源実現」、「人口減十年で一万突入に財源対応」と書いてありますが、現在の小平市の人口は2013年3月1日現在185,499人も存在し、人口1万人に突入するためには10年で90%以上の人口減が必要になる、という、かなり無理のある前提が見えます。ただ、これが人口が1万人になるのではなく、現在から1万人減少する、という可能性もありますが、小平市はここ数年間の人口は微増傾向にある事や他の人口減少地域とは異なり、都心のベッドタウンである事からこちらの前提も多少、難が無いわけではありません。

次に政策の話になっていきますが、いくつか見てみますと、市長選を市議選と同日選にする、という事や無増税財源実現に対応するであろう人件費節約による財源捻出という普通の政策を訴えていますが、多摩湖線2 km*1を地下化するという、なかなかすごい提案もしています。

そして、略歴の欄を見てみると「米軍地図局勤務・軍事機密機器担当」というのが見られ、、一体、いかなる事に関わっていたのか、個人的に少し気になりました。ちなみに米軍地図局というのは、調べた限りでは昔、存在した組織のようで、日本にその支部が設置されていたようです。

このような選挙公報を発行した小方蔵人ですが、上表に示したように837票(得票率1.56%)という結果に終わっています。

次に古川徹選挙公報を示します。

こちらの選挙公報は小方蔵人のとは異なり、レイアウト的にインディーズ候補選挙公報の香りがしてきますが、内容を精査してみない事には断定できません。とりあえず、文章を読んでみましょう。

まずは「能動型」と書いて、「ふるかわとおるの」という、結構特徴ある文章からスタートしますが、これが一体何かというと「税に一働きさせる」という手法で、下の説明文章の冒頭で「税で収益をあげる行政手法」と定義しています。その方法は「省令の上書き実行」、「国と都の財政政策の取り込み」、「サイバーテクノロジーの活用」、「科学的な管理方式の導入」の4点を挙げています。

次にこれら4点を精査してみましょう。「省令の上書き実行」に関しては、「省令を市長権限で市民に有利な方向で上書き実行し、税に収益をあげさせます」という抽象的で良く分からない感じです。「国との財政政策の取り込み」に関しては、「アベノミクスの20兆円の財政出動を最適収益で小平へ取り込み」と書いてあり、これを見る限りでは、小平市に公共事業を誘導しようとしている可能性がうかがえます。「サイバーテクノロジーの活用」に関しては、ドバイなどの経済都市と友好都市協定を結び、サイバーシルクロードを構築、富の流れを小平へ迎え入れる、という何とも壮大かつ、姉妹都市協定って、そういう事で締結が出来て、活用できるのだろうか、と感じさせるような内容です。最後の「科学的な管理法式の導入」ですが、複式簿記、バランスシート、複数年予算の導入と書いてあります。複式簿記やバランスシートに関しては、自治体の会計は企業会計とは異なり、これらを採用していない自治体がそれなりにあり、場合によってはこれらの導入が争点になるものの、、実は小平市ではこの複式簿記とバランスシートは導入されていたりします*2。なお、複数年予算に関しては、導入に関して、大きな議論になった事もあり、この最後の「科学的な管理方式の導入」というのは、多少調査が足りないものの、他の政策に比べ、具体的な方策が挙げられていたりします。

これらの能動型(ふるかわとおるの)財政が現在より「税で収益をあげる」という事なのかは分かりませんが、能動型(ふるかわとおるの)財政について、述べた後はそれによって、上がった利益で福祉の充実を訴えています。その後の文章を読んでみても、能動型(ふるかわとおるの)財政を導入すれば、何でも解決的な発言に終始するものの、特に突飛な事を突然、主張するわけではありませんでした。ただ、個人的にはこの選挙公報の上部に書いてある「ポスターに詳細を記載しました」という一文が気になってはいます。

このように能動型(ふるかわとおるの)財政の導入を主張した古川徹ですが、上表に示したように475票(得票率0.89%)という結果に終わっています。

*1:多摩湖線国分寺から小平市内を通って、東村山市西武遊園地まで行く路線。おそらく、2 kmは小平市内の部分と思われる

*2:http://www.city.kodaira.tokyo.jp/kurashi/index10015003.html