Experiments of Actin

『インディーズ候補』(泡沫候補)の特徴的な選挙活動を中心に少し変わった選挙、政治関係の話題を取り上げているブログです。

石田辰夫の選挙公報(2012年那覇市長選)

11月11日に投開票が行われた沖縄県那覇市長選ですが、今回はこの選挙で立候補した石田辰夫を紹介します。この石田辰夫は「沖縄維新の会」という団体所属で立候補していますが、この「沖縄維新の会」は橋下徹の「日本維新の会」とは全く関係が無く*1、石田辰夫自身が作ったインディーズ候補に良く見られる実質1人団体だったりします。また、沖縄には他にも「沖縄維新の会」を名乗る組織はあるようで、そちらはどうも幸福実現党の関連組織、あるいは友好組織のようです。

今回、那覇市長選に立候補した石田辰夫ですが、今回が初選挙ではなく、2012年6月の沖縄県議会選の那覇市選挙区に立候補しています*2。この際は総有効投票数115,027票中1,397票(得票率1.21%)獲得し、定数11で13人中13位で落選したものの*3、供託金の没収は免れていたりします。

それでは、今回の那覇市長選の選挙公報を以下に示します。

文字のサイズが小さいため、拡大しないと見づらいですが、いきなり見ただけで、これは異色だ、という事が分かります。書いている内容が一見して、すぐ奇抜と分かるいう意味ではなく、横長の選挙公報のスペース全てを横書きで書くために、文字を横に倒した形式という、かなり珍しい形式を取っています。ただ、配布されていたpdfファイルでは見づらいとは思いますが、実際の紙面では横に倒すのは容易なので、特に悪いレイアウトと決めつけるのは良くないです。むしろ、この横倒し文字形式より、字が小さく、見づらい事が実際の紙面では問題になるとは思います。

この紙面を横にして、小さい文字の文章を読んでみると、みんなの党日本維新の会、元阿久根市長の竹原信一などを支持しているようで、「私も近々日本維新の会に入党し」と日本維新の会への入党意欲を述べており、「沖縄維新の会」もそういう日本維新の会への支持から命名されている事を確信させます。そして、これらの政党への支持を裏付けるように、自分の経歴説明以外は公務員の待遇に関して批判する内容の文章のみが記されています。

そして、このような公務員批判の後に自身の経歴に続くのですが、この公務員批判の後に記される経歴としてはなかなか面白い経歴が記されています。一般企業のユニデンに就職した後、大阪府立高の教員になり、その後、沖縄県職員の教育職になるなど、公務員経験がかなり長かったようです。内部から見て、何らかの事に目覚めたのか、と思われますが、この辺りは想像の範囲内で、何とも言えません。そして、この「弱い人も幸せになれる平等社会の建設のため政党に所属し政治活動を数十年続け」という部分にも注目です。本人のブログによると、共産党に所属していたようで*4、ここから維新の会系の路線に流れた、というのが、かなり興味深い所です。この辺りの鍵として、これも本人のブログによると、共産党と揉めて、いられなくなったらしい事が記されていますが*5、詳細の事情が分からないので、この辺りも何とも言えません。

さて、選挙結果ですが、3人が立候補し、3位だったものの、総有効投票数97,194票中2,670票(得票率2.75%)*6と定数11の沖縄県議会選と単純な比較はできませんが、沖縄県議会選の時より良い結果に終わっています。これは「維新の会」という名前を見て、投票した人が多かったのか、とも考えられますが*7、残り2人が全て既存政党系の候補者*8だったので、その手の批判票が流れた可能性も考えられます。

那覇市長選ではこのような結果を残した石田辰夫ですが、今回は那覇市での選挙2回目であり、今後も那覇市で行われる選挙に立候補するのか、動向に注目したいところです。

*1:この辺、先日紹介した雄上統の「東京維新の会」と似ていますね。

*2:その時の選挙公報を確保していなかったりするので、その時は紹介がちょっとできなかったりしました。近日中に確保して紹介したいと思います。

*3:http://www.city.naha.okinawa.jp/kakuka/senkan/kiroku/kengi.html

*4:http://kannrixyouseihaisisuruzo.ti-da.net/e3473240.html

*5:http://kannrixyouseihaisisuruzo.ti-da.net/e3586249.html

*6:http://www.city.naha.okinawa.jp/kakuka/senkan/kiroku/sityou.html

*7:昔、東京都知事選で自民党とは全く関係のない、自由民主党友会と名乗って4万票以上獲得したり、日本自由民主党と名乗って2万票近く獲得した候補者がいたりしました

*8:民主、自民、公明、新党改革推薦の現職と共産所属、社民、沖縄社会大衆党推薦の新人