高橋正明の選挙公報(2011年富田林市長選)
以前、2011年の大阪府知事選の話題を何回かしましたが、その中で高橋正明という候補者を紹介しました。詳しくは当該記事を参照していただきたいのですが、この大阪府知事選では父親が赤軍*1を震え上がらせ、「アムールの鷹」と呼ばれていた、という素敵な主張をしていました。
ここで少し話を脱線させますが、先日、余りにも部屋の状態がアレな事になっていましたので、部屋の清掃と整理をしていました。その際に2011年の夏コミのテーマであった、2011年の統一地方選の選挙公報の山を整理していたのですが、その統一地方選の日である2011年4月24日に投票が行われた、富田林市長選に立候補した時の高橋正明の選挙公報を発見しました。これはどうも、夏コミに掲載しようと思ったものの、スペース不足で掲載できなかったと思われます。読んでみると「アムールの鷹」程ではないにしろ、素敵な文章もありましたし、インディーズ候補の選挙公報の変遷というのはなかなか興味深いものでもありますので、今回、紹介してみようと思いました。と言う事で、高橋正明の富田林市長選の選挙公報を下に示します。
ちょうど、東日本大震災が起きた直後の選挙であったので、「石川に咲くすみれのような小志を市民全体で東北にお届けしたい。」という少し詩的な表現が、まず、目に入ります。そして、本文を読み進めていきますと、「少しの花を飾り市長室を開放し」というような表現がありますが、特にとんでもない事を言っているわけではありません。その後も、特に目立った文章は見られませんが、後半部分の「富田林市民診療所をつくり、乳幼児と児童専門の赤ひげ先生とマザーテレサをそろえる」という表現辺りから、徐々に雲行きが怪しくなってきます。
この赤ひげ先生とマザーテレサを富田林に揃える、と宣言した次の段落では、「市民講座を開設し、第一回は在住の世界の頭脳とよばれているサッカー選手に、すばるホールに桂三枝・コブクロ・PM2・辻井各氏をおまねきする。希望の方を公募でつのる」という、市民講座の開設を宣言していますが、その呼ぶ人材が謎すぎます。「在住の世界の頭脳と呼ばれるサッカー選手」ですが、世界の頭脳とまで呼ばれるサッカー選手とはいったい何者なのか、そしてそんな人物が富田林に住んでいるのか*2、という疑問が湧いてきます。そして、すばるホール*3に桂三枝やコブクロを呼ぶと宣言していますが、これは市民講座と言うよりはホールで公演をしてもらいたい人と言う感じがします。さらに、桂三枝やコブクロに混じり、PM2と辻井氏なる者が挙げられていますが、一体、これらの人物が何者なのかという疑問も出てきます。
そして、極めつけは次の段落の「アメリカに貸している六百兆円を返させる千歳一遇*4の今、秘策あり。市長に就任した後、ただちに公表する」という所です。市長に就任した後、良く分からない謎の秘策をただちに公表する、というドクター中松の選挙で主張する発明のような、『荒唐無稽のように思えるけど、自分は実現のアイデアを持っている。でも、それは当選したら教えるよ』的な発言が非常に素敵です。
このように後半は素敵な提案が立て続けに出てきましたが、最後は「東日本大震災支援に市民全員で一人あたり百円の復興連帯税を十年間あえてお願いする」という至極真っ当な主張で締めました。
ちなみに選挙結果ですが、3人が立候補し、総有効投票数44,891票に対して、得票数2,658票(得票率5.92%)で3位という結果に終わりました*5。