Experiments of Actin

『インディーズ候補』(泡沫候補)の特徴的な選挙活動を中心に少し変わった選挙、政治関係の話題を取り上げているブログです。

五十嵐博臣の選挙公報(2015年江戸川区議会選)

(この記事は同人誌『補導聯盟通信 2015年夏号』に掲載した文章を再編集したものです)

昔の選挙にはしばしば分かりやすい街宣右翼的な過激な右翼候補が立候補していました。しかし、最近ではこのような候補者はほとんど見られなくなっています*1。この2015年の東京都の江戸川区議選に立候補した五十嵐博臣は最近では珍しい昔ながらの街宣右翼タイプの候補です。

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選挙公報を上に示しました。この五十嵐博臣は「大日本神民塾」という名称の政治団体に所属しており、これは昔ながらの右翼だということを強く感じさせます。内容もいきなり「日の丸世直し」と大書きし、「日本人よ、目を覚ませ!」「日本は畏れ多くも天皇陛下の国、皇国である」という文章に始まっています。そして、「既成政党による、金権腐敗偽善馴れ合ひ政治に終止符を!」「墨夷(アメリカ)自主独立憲法の策定」などの記載があり、昔ながらのある意味分かりやすい右翼であることが示されています。

このような昔ながらの右翼系の候補は雑誌等も注目していたようで実話ナックルズ7月号」*2にて、3ページもかけて紹介されています。この記事によると十代からこのような右翼活動を行っていること、右翼街宣車での選挙活動を考えていたこと(これは公職選挙法に触れるためできなかったとのこと)、右翼関係の人物が入れ代わり立ち代わりで応援演説をしていたこと、ポスターが昔ながらの街宣右翼のビラ的であったこと等が詳しく書かれていました。

さて、このような活動を行った五十嵐博臣ですが、得票数270票(総有効投票数219,956票、無効票5,746票)で58人中58位(定数44)という結果に終わってしまいました。

なお、前述した実話ナックルズの記事によると「今後も機会があれば公的な手段を使って右翼活動を展開したい」とのことで、どのような選挙活動を展開していくのか、気になる所でしたが、選挙活動は見られず、2018年5月に保険金の詐取容疑で逮捕されていました。

www.sankei.com

(7/24追記)
本人のブログによると、20日間拘留されたのち、5月28日に嫌疑不十分で釈放されたとのことです。

blog.livedoor.jp

*1:過去に右翼系候補が大量に立候補した理由として、純粋な目的で立候補していた人もいたものの、自民党といった保守勢力から資金を提供されていた候補が多数いたことが挙げられます。このような候補は左派勢力の妨害や減票工作をしたり、選挙用はがきを与党の特定候補に横流ししたりといったことをしていました(これに関しては同人誌 『補導聯盟通信 2016年冬号』に詳しく記載してます)。しかし、時代が進むにつれ、このような資金提供がなくなり(また、同時に活動家自身が高齢化し)、このような資金提供を受けて立候補するタイプの候補はいなくなりました

*2:田口宏睦、結束武郎,現役右翼 選挙に出る,実話ナックルズ,2015年7月号,ミリオン出版

選挙ドットコムさんに寄稿しました(テーマ: 高齢政治家)

選挙情報サイトの選挙ドットコムさんに以下の記事を寄稿しました。

go2senkyo.com

今回は高齢の政治家について、取り上げています。

今回の参考文献情報は以下の通りです。

wikipedia英語版: Strom Thurmond
wikipedia英語版: List of United States Senators from South Carolina
wikipedia英語版: United States Senate special election in South Carolina, 1954
wikipedia英語版: United States Senate special election in South Carolina, 1956
wikipedia英語版: Mahathir Mohamad
wikipedia日本語版: 内閣総理大臣
wikipedia日本語版: 尾崎行雄
首相官邸ウェブページ>歴代内閣

選挙ドットコムさんに寄稿しました(テーマ: 記号式投票)

選挙情報サイトの選挙ドットコムさんに以下の記事を寄稿しました。

go2senkyo.com

今回は投票用紙にあらかじめ候補者名が印刷され、それに丸を付けるという形式である記号式投票の日本における状況を取り上げています。特に1960年代に記号式投票が地方選挙で初めて採用されたときや1994年に国政選挙で記号式投票が採用されたものの、一度も選挙をすることなく、元の自書式投票に戻ってしまったときなどを紹介しています。

記事中では紹介できなかった情報を1つ紹介します。

無効票が少ないことがメリットである記号式投票ですが、記号式を採用したがゆえに無効票が多数発生してしまった事例があります。それは○の判子を押す形式の選挙で起きました。使用したインクが乾きにくかったため、紙を折り曲げて投票した際に別の部分に○が移り、投票用紙に○が2つあるという状態になってしまい、このような票は無効票となってしまったのです。

今回の参考文献情報は以下の通りです。

・投票は記号式 衆院選挙法改正, 毎日新聞 1951-08-16 朝刊, 1.
・記号式の投票や永久名簿を検討 選管委会議で決議, 毎日新聞 1956-10-06 朝刊, 1.
鹿沼市長選挙 記号式投票の採点簿 簡単、疑問票減る, 毎日新聞 1962-11-11 朝刊, 3.
・記号式投票ぞくぞく 自治省の方針 やがては全選挙に, 毎日新聞 1963-01-04 朝刊, 2.
・記号式投票 全国的に総くずれの形勢 東京の脱落響く 「時期尚早」など理由は薄弱, 毎日新聞 1963-03-02 朝刊, 12.
・[選挙の話]自書投票は時代遅れに, 毎日新聞 1991-01-20 朝刊, 12.
・選挙変わる、選管戸惑う 選挙区増で開票所確保や投票用紙の印刷は…, 朝日新聞 1994-02-01 朝刊, 15.
・胸算用と戸惑い秘めて、小選挙区がやってくる「選挙業界」動く, 朝日新聞 1994-11-22 朝刊, 1.
・「自書式」に戻す改正法案を提出へ--衆院選の投票方法で自民党・刷新の会, 毎日新聞 1995-04-13 朝刊, 2.
・「見直しを」と与野党からぼやき続々 衆院小選挙区比例代表並立制, 朝日新聞 1995-05-29 朝刊, 2.
・政党は墓穴を掘った(社説), 朝日新聞 1995-10-21 朝刊, 5.
宮川隆義 論壇 国民を愚弄した自書式投票復活, 朝日新聞 1995-10-31 朝刊, 4.
・吉田克二, 自書式投票の復活「政党本位の選挙」が泣く, 朝日新聞 1995-11-08 朝刊, 4.
・「記号式」幻と消え 紙業者・選管ホッ 再び自書式投票へ, 朝日新聞 1995-12-08 朝刊, 35.
・[探る斬る]投票時間2時間延長 電子化から罰金まで 「自書式」は世界で少数派, 毎日新聞 1997-12-07 大阪朝刊, 2.
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