Experiments of Actin

『インディーズ候補』(泡沫候補)の特徴的な選挙活動を中心に少し変わった選挙、政治関係の話題を取り上げているブログです。

アメリカのインディーズ政党、選挙に勝つ

アメリカは民主党共和党の二大政党制であり、二大政党制を取る国の中でも、特にこの二大政党の力が圧倒的に強いという傾向があります。そのため、それ以外の党の力は著しく弱く、色々な事情が無ければ、選挙に勝利する事は難しい傾向にありますが、何と、今回、現代ホイッグ党(Modern Whig Party)なる政党が選挙に勝利したというニュースを発見しました。

民主党の牙城でホイッグ党の選挙管理人が誕生 米フィラデルフィア
[フィラデルフィア 8日 AP] 民主党の牙城である米フィラデルフィア州で、ホイッグ党員が公職に就いた。現代ホイッグ党のロバート・バックホルツは、フィラデルフィアホイッグ党員が選挙に勝ったのはひょっとしたら160年ぶりかもしれない、と語っている。

彼はドブ板戦術によって民主党の対抗候補を36対24で破り、フィラデルフィアのラーンハースト地区の選挙管理人となった。選挙管理人の任務は選挙の際の設備や手続きの監視で、年100ドル (およそ1万円) の報酬が支払われる。任期は4年だ。

フィラデルフィアで最後にホイッグ党の市長が就任したのは1854年だ。現在、この街には名簿に登録されているだけで80万4000人の民主党員と12万人の共和党員がいる。

バックホルツはかつて無所属だったが、3年前、財政に関しては保守だが社会的にはリベラルなホイッグ党に魅力を感じ、党員になったそうだ。ホイッグ党民主党共和党のあいだの賢明な中道であり、最近の政府閉鎖からもそれは明白だ、と彼は主張している。
「政府閉鎖はどちらの政党も信用できないこと、またシステムが壊れていることを私たちに伝えました」と、彼は木曜日にAP通信に語った。

1800年代半ばの4人の米大統領ホイッグ党員だった。現代ホイッグ党のウェブサイトによれば、ホイッグ党は20世紀に姿を消していたが、2007年、ワシントンの二大政党制がうまく機能していないことに憤ったイラクおよびアフガニスタン戦争の退役軍人たちが同党を復活させたとのことだ。

現代ホイッグ党のアンドリュー・エヴァンス委員長は、党員は全国におよそ3万人いると述べている。

エンジニアでもあるバックホルツは、今回の勝利に世間から寄せられている関心に「少々戸惑っている」ことを認めた。また、ふだん注目を浴びるのは妻のダイナのほうなのに、と彼は語っている。
ダイナ・バックホルツは『非公式ハリー・ポッター・クックブック』の著者だ。共和党員の彼女も選挙管理人に選ばれた。

エキサイトニュース 2013年11月11日 民主党の牙城でホイッグ党の選挙管理人が誕生 米フィラデルフィア州

この記事を見れば分かるように、勝利したのは国政選挙や州の知事や議会選挙でもなく、それどころか、町レベルの議会選でもなく、フィラデルフィアの一地区の選挙管理人選挙であったようです。選挙管理人もちゃんと投票で決める辺り、アメリカらしいですが、個人的には選挙管理人を決める選挙は誰が管理するのかと言う所も気になります。ちなみに直接関係はありませんが、この記事の英語原文を見てみると、"campaigned door-to-door"をどぶ板選挙と訳しており、1つ賢くなった気がしました。

さて、この記事を読み進めてみますと、タイトルでインディーズ政党とは書いたものの、現代ホイッグ党は3万人も党員がいると主張しており、この人数が正しければ、規模としては、それなりに大きな政党です。英語版wikipediaには現代ホイッグ党の記事があり、これによると2万5千から3万人のサポーターがいて、設立者がアフガニスタン戦争やイラク戦争に従軍した退役軍人達であり、サポーターの大半が米軍絡みと書いてあり、サポーターが色々と面白い構成である事が分かります。

また、wikipediaには現代ホイッグ党の選挙記録が書いてあります。これによると現代ホイッグ党が選挙初勝利を宣言したのは党員がアラバマ州のリー郡というエリアの保安官選挙に当選した時でしたが、この時は民主党の公認を受けていたようで、これは本当に現代ホイッグ党の実力のみの勝利なのかという疑問が出る選挙でした。このようにアラバマ州のリー郡では勝利を宣言できたものの、2009年のニュージャージー州議会選の第14選挙区に立候補者を擁立した際は得票率0.6%で大敗という結果に終わっています。また、この年の12月には初の全国会議をワシントンD.C.で開催したそうですが、その参加メンバーは子供を含めて14人という少人数であり、本当に党員が3万人いるのか、という疑問が湧いてきました。

このようにメンバーの大半が軍関係者であるという特色を持つ現代ホイッグ党ですが、この選挙の勝利の勢いをかって、今後、活動をさらに活発な物にしていくのか、注目したいところです。