Experiments of Actin

『インディーズ候補』(泡沫候補)の特徴的な選挙活動を中心に少し変わった選挙、政治関係の話題を取り上げているブログです。

選挙ドットコムさんに寄稿しました(テーマ: 指名手配犯が立候補した事例)

選挙情報サイトの選挙ドットコムさんに以下の記事を寄稿しました。

go2senkyo.com

選挙の立候補には必ずしも本人が行く必要はありません。この制度のおかげで、拘置所にいながらも容疑者の段階では被選挙権があるため、選挙への立候補ができるという「獄中立候補」が可能になっています。

今回の記事はこの本人が行かなくても立候補をできる制度によって、警察に追われている指名手配犯が選挙に立候補した事例について、紹介しています。

なお、記事の趣旨とは多少ずれたため、紹介しなかった特異な事例として、選挙期間中に候補者が指名手配されたという事例があります。これは1983年の衆議院選に立候補した奥崎謙三*1の事例で、選挙期間中に殺人未遂事件を起こしたため、指名手配され、選挙期間中に逮捕されています。

今回の記事および補足情報の文献情報は以下の通りです。

・”逃走先”から事前運動 手配の「本沢」幻の出馬ねらい 釈明かね、あいさつ状 茨城県議選, 読売新聞 1966-12-18 朝刊, 15.
・手配の「本沢」県警に挑戦状 「投票まで出頭しない」 都内の”地下事務所”から, 読売新聞 1966-12-20 朝刊, 15.
・本沢、県警に挑戦状 出頭、遠慮するヨ ”潔白”だと卑劣な筆跡, 茨城新聞 1966-12-21, 7.
・六人が”獄中立候補” 注目の茨城県議選 告示, 読売新聞 1966-12-24 夕刊, 1.
・出直し県議選 正月返上でスタート 逃亡者や獄中組も 見きわめよう百余人, 茨城新聞 1966-12-25, 1.
・本沢、逃走先から立候補 異例”主なき選挙” 批判の目は事務所に, 茨城新聞 1966-12-25, 7.
・手配の本沢が出頭 茨城汚職”不公平なので逃げた”, 読売新聞 1966-12-26 朝刊, 15.
・本沢元議長が自首 贈収賄事件核心へ 県議選にも重大な影響, 茨城新聞 1966-12-26, 1.
・ガンとして否認 きょう本沢を身柄送検, 茨城新聞 1966-12-27, 1.
・拝啓・有権者さま にせの推薦文書 本沢候補がバラまく, 茨城新聞 1966-12-29 7.
・黒い霧解散県議選に審判下る 強かった黒い候補 無言の批判か 投票率は戦後最低, 茨城新聞 1967-01-09, 1.
・皇居パチンコ玉事件「奥崎」 候補の身で殺人未遂, 読売新聞 1983-12-16 朝刊, 23.
・殺人未遂の奥崎を指名手配, 読売新聞 1983-12-16 夕刊, 11.
・改造ピストル持つ 奥崎を特別手配, 朝日新聞 1983-12-17 朝刊, 23.
・発砲候補者 奥崎、神戸で逮捕 犯行の手製短銃所持, 朝日新聞 1983-12-17 夕刊, 13.
・手配の奥崎を逮捕, 読売新聞 1983-12-17 夕刊, 11.
・市長選の「無競争阻止」 丹内輝夫氏が出馬表明, 三陸新報 1985-05-14, 1.
・恐喝未遂で指名手配 市長選出馬の丹内輝夫 盛岡署, 三陸新報 1985-05-26 号外.
気仙沼市長選告示 12年ぶり”選挙戦” 菅原氏、3期の実績訴え, 河北新報 1985-05-27 朝刊, 8.
・手配男が立候補 気仙沼市長選 盛岡で恐喝未遂, 河北新報 1985-05-27 朝刊, 17.
・丹内いぜん所在不明 選挙中でも逮捕の方針, 三陸新報 1985-05-28, 1.
・指名手配犯の暴力団組長 市長選に立候補 気仙沼, 朝日新聞 1985-05-27 朝刊, 23.
気仙沼市長選 菅原氏ら二氏の争い 市議選は三十四人立つ, 朝日新聞 1985-05-27 朝刊宮城.
・手配男が立候補 気仙沼市長選, 読売新聞 1985-05-27 朝刊, 22.
・候補者の組長姿見せず 気仙沼市長選 それでも1700票獲得, 朝日新聞 1985-06-03 朝刊, 22.
気仙沼市長選 菅原氏に厚い支持 市議選は激戦にわく, 朝日新聞 1985-06-03 朝刊宮城.
気仙沼市長選確定得票, 朝日新聞 1985-06-04 朝刊宮城.
・気仙っこは??? 市長選に立候補した 指名手配の暴力団組長 「高邁なスローガン」と「恐喝未遂」の落差, アサヒ芸能 1985-06-13, 182-185.
・今週のオトロシ事件2 気仙沼発 恐カツ未遂指名手配中に市長選立候補した 1700票ヤクザのクソ度胸, 週刊大衆 1985-09-16, 39-41.

*1:様々な事件を起こし、「ゆきゆきて 神軍」などでも取り上げられた有名人物

中村欣一郎の選挙公報(2021年鳥羽市長選)

今回は2021年4月11日に投票が行われた三重県鳥羽市長選に立候補した中村欣一郎を紹介します。

何回も当選している現職なのにもかかわらず、特徴的な選挙公報を示す候補はそれなりに存在します(例として下に示します)。

actin.hatenablog.com
actin.hatenablog.com
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今回、紹介する中村欣一郎も2期目を目指す現職市長で、市長就任以前は鳥羽市議や三重県議を長年やってきたという鳥羽地域のベテラン政治家にもかかわらず、今回の市長選では特徴的な選挙公報を示しました。それでは、下に中村欣一郎の選挙公報を示します。

一目見て、手書きでごちゃごちゃしていたり、ポスターらしき画像があったりと、これはすごい感じであるということを見るものに与えます。前述したようにこの人物は現職市長かつ地方議員経験も豊富ですが、インディーズ候補感が非常にある選挙公報となっています。

内容を見てみると「鳥羽の新しい種をつくろう」ということを掲げており、種をひっくり返して「ネタ」という意味も持たせていることが分かります。そして、新水産研究所などのさまざまな具体的な事例を挙げて、種をまいてきたことを述べています。そして、「第六次鳥羽市総合計画」を挙げ、鳥羽市の今後10年間の計画の実行実現を託してほしい旨を述べています。

なお、以前の選挙公報についてですが、前回の初当選した2017年市長選、その前の選挙である2015年の三重県議会選は無投票で当選しており、選挙公報は発行されませんでした。また、その前の2011年の三重県議会鳥羽市選挙区に立候補した際の選挙公報は以下のような形となっており、この時点では極めてまっとうな選挙公報となっています(この時の選挙も当選しています)。10年ぶりの選挙公報ということでノウハウを忘れてしまったのかは謎ですが、10年の間に選挙公報に対して、何らかのことがあったことが推測されます。

このように現職なのにもかかわらず、特徴的な選挙公報を示した中村欣一郎ですが、自民党の推薦を受け*1、5,358票を獲得して当選しています(なお、鳥羽市長選の候補者は合計2人で相手候補は4,397票)*2

あきらちゃんと学ぶ選挙のイロハ(第6回: 按分票)

以前紹介した私が出演と内容監修をしている初心者向け選挙解説動画「あきらちゃんと学ぶ選挙のイロハ」ですが、第6回が公開されました

今回は以下の動画です。得票数がまれに100.5票のように小数点以下が含まれることがあります。これは複数の候補者に該当しそうな票があった場合の按分票というルールによって生じるもので、今回はこれについて解説しています。

www.youtube.com

今後も定期的に選挙に関する解説動画をアップする予定なので、よろしければ、茗水あきらちゃんのチャンネル登録とツイッターのフォローをお願いいたします。

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また、第1回から第5回に関する記事は以下の通りです。

actin.hatenablog.com
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actin.hatenablog.com
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このほか、選挙ドットコムさんに茗水あきらちゃんのインタビューを受けましたので、こちらも参照していただけるとありがたいです。

actin.hatenablog.com