Experiments of Actin

『インディーズ候補』(泡沫候補)の特徴的な選挙活動を中心に少し変わった選挙、政治関係の話題を取り上げているブログです。

小笠原ひろきの選挙公報(2015年和光市議会選)

(この記事は同人誌『補導聯盟通信 2015年夏号』に掲載した文章を再編集したものです)

現在ではインターネットを用いた選挙運動は当たり前のように展開されています。しかし、インターネットを用いた選挙活動が解禁されたのは、2013年とインターネットの世間への普及を考えると比較的最近です。2015年の統一地方選はインターネットの選挙活動が解禁された初の統一地方選となりました。この統一地方選ではインターネットを用いた選挙活動は解禁されて約2年でしたが、当時は様々な方法が模索されてはいたものの、ネット活動をしていない候補者も多く、インターネット上に様々な候補の情報を掲載しているようなサイトもさほど普及しているとはいえず、そういう政治的なインフラが整備されているわけではありませんでした。また、ネットを活用した一般的な政治活動もそこまで普及しているわけではなく、現在と比べると、明らかにインターネットの使用は低調ではありました。

今回紹介する2015年4月24日に行われた埼玉県の和光市議会選に立候補した小笠原ひろきは、このようなインターネットの政治活動について訴えた候補です。

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上に示した選挙公報には大きく「選ぶ.jp」というアドレスらしき文字が目立ちます。この「選ぶ.jp」とは各候補者から政策等の自身が訴えたいコンテンツを寄稿してもらうサイトのようで、自らが当選するよりも選挙で様々な情報を広く訴えられることを利用し、各候補者に自らが開発したネット選挙のツールを宣伝することを主眼に置いている異色の候補です。

この「選ぶ.jp」に関しては「白黒の選挙公報より楽しい」とし、「しぼって選ぶの」というツールらしきものを作っていることを宣伝しています。また、「ご寄稿下さる候補者の方が少ない場合は選挙公報の方が楽しい可能性があります」と正直に書いてある点は大いに好感が持てます。なお、実際の寄稿者はかなり少なかったようで、残念ながら「しぼって選ぶの」は作ったもののうまく機能することはできなかったようです。

また、自身の政策としては「液体民主主義」なるものを訴えており、ネットでの投票、議案や他の議員の意見をまとめてネットに公開などの中立の立場での支援などを訴えており、「選ぶ.jp」がそのインフラとなることが記されています。この「液体民主主義」に関しては「選ぶ.jp」に詳細が記されており*1自分が当選しても、市議会に提出された議案の賛否の判断を自分でせず、自治体住民のネット投票の結果によって賛否を決めることを記しています。なお、このようなネットを利用した直接民主主義は現在、様々なところで話題となっている政治団体「支持政党なし」が訴えています。また、「液体民主主義」では政治に関するデータベースを作るため、各自治体が公開するデータを扱いやすい形の統一形式のデータにすることなども訴えています。

このようにネット時代に対応するための選挙インフラの整備という、かなり興味深い訴えをしていましたが、得票数137票(総有効投票数23,543票、無効票460票)で20人中20位(定数18)で落選と言う結果に終わってしまいました。個人的には今後もこのような興味深い活動を行うのか、少し注目してみたい候補でありましたが、「選ぶ.jp」は2015年の統一地方選以降、更新が停止しており、残念なところではあります*2

*1:http://xn--29jz400a.jp/wako/info/

*2:ただ、どこかのサイトに雇われて、活躍している可能性も否定できませんが