Experiments of Actin

『インディーズ候補』(泡沫候補)の特徴的な選挙活動を中心に少し変わった選挙、政治関係の話題を取り上げているブログです。

海老根篤と海老根まさ子の選挙公報(2015年みどり市議会選、群馬県議会選 桐生市選挙区)

(この記事は同人誌『補導聯盟通信 2015年夏号』に掲載した文章を再編集したものです)

今回は面白い関係にある二人の候補者を紹介します。

まず、2015年4月26日に投開票が行われた群馬県みどり市議会選に立候補した海老根篤を紹介します。この候補は今回が初選挙ではなく、2011年の桐生市長選や群馬県知事選への立候補、また、それ以前の選挙での立候補が確認されています。2011年の桐生市長選では現職のみの立候補で無投票になると思いきや、立候補締め切り40分前に届出をしたという話もあります。

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今回の選挙公報を上に示しましたが、なぜか自分の顔写真を隠した状態の免許証が掲載されており、これは只者ではない感を読む人に与えます(なお、この免許証をよく見ると自動二輪や大型二種を持っていることが分かります)。また、この免許証の上に「あの花のように」というタイトルの詩らしきものが掲載されており、作者は海老根篤ではなくエビネ真咲子」と書いてあります。そして、「命の公約!」として「この右の詩のように私も正当選挙で勝利の暁には日本一の市議になります!!」と決意を示しています。この他には左の方におそらく過去の選挙の選挙公報を切り取って貼り付けたと思われる政策の文章が掲載されていました。

このような、なかなかすごい選挙公報を掲載しましたが、得票数245票(総有効投票数 19,398票、無効票288票)となり、21人中20位という結果となりました。ブービーという結果に終わりましたが、このみどり市議会選の定数は20であったため、なんと海老根篤は当選してしまったのです。最下位の候補者の得票数は183票であったものの、選挙公報は比較的まともなものであったため、これは驚くべき結果でした。

さて、海老根篤の議員としての活動ですが、議会では様々な発言を積極的に行っていたものの、言動などが問題視され、何度も懲罰委員会にかけられ、戒告、陳謝、出席停止という様々な懲罰を受け、議員辞職勧告決議案まで可決されるありさまでした*1。そして、ついに当選から約1年半後の2016年9月26日の議会において、今まで事実に基づかない発言を行ったこと、『市長が不規則発言をしたが、記録していたテープから消され、議事録から抹消された』旨の虚偽の発言を行ったこと、以前より品位を書く発言を重ねたこと、懲罰の陳謝に真面目に応じなかったことしたこと、市長が大学院の通学に公用車を使っているのではないかと議会で発言をしたものの、この根拠が風聞に基づいてると議会内で指摘されたことなどを問題視され、議会を除名されるという事件にまで発展しました。

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しかし、海老根篤はそのまま引き下がらず、県知事に除名処分取り消しを要求しました。そして、2017年3月に「言動と懲罰の均衡という点から社会通念上著しく妥当性を欠き、議会の裁量権の範囲を超えまたは乱用したものであり、違法というべき」という結論が出て、除名は取り消しという、さらに驚くべき結果になったのです。

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これに対し、地元紙の桐生タイムスは海老根篤をトランプ大統領になぞらえる論説文を掲載するなど、地域では大きな話題になりました。

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次に紹介するのは2015年4月12日に投開票が行われた群馬県議会選 桐生市選挙区に立候補した海老根まさ子です。この「海老根まさ子」という名前ですが、前述した海老根篤の選挙公報に出てきた詩らしきものの作者と同一氏名です。

また、地元紙によると立候補届出日の午後3時(締切2時間前)の時点で定数3に対して、3人の候補者がいたものの、海老根まさ子が無投票を阻止するために立候補届を行ったことが記されており、届出をした人物として海老根氏の元夫で養子の男性(67)という人物が挙げられています。この人物の年齢に注目してみると、立候補届出時の海老根篤の年齢と同一です*2。そして、下に示した選挙公報を見てみると、インディーズ候補にしばしば見られる手書きでびっしり詰め込んだ選挙公報の後ろの方に「御存じのとおり、私は五年前の桐生市議会議員 新里選挙区補欠選挙桐生市長選挙に立候補した者です。桐生市長選挙では「海老根 篤」の黒子でした」と書かれていました(なお、前述したように前回の桐生市長選に立候補したのは海老根篤です)。このようなことから、海老根まさ子と海老根篤との関係はどうも元夫婦で養子関係のようです。個人的には、どうして離婚した後に養子関係になったのか、色々と謎な関係に思えます。

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それでは、海老根まさ子の選挙公報をよく見てみましょう。前半の部分では群馬県知事に対して、当初の公約を破棄して多選したことやスキャンダルについて批判を行い、さらには桐生市選出の県議会議員が県知事の支持者であることや無投票多選状態であることも批判しています。前述したように今回の選挙は無投票の阻止を目的に立候補締切の2時間前に届出を行いましたが、この選挙公報でも「究極の不正選挙である無投票選挙」「これほどの状況下でも本当に誰も出ないので、もしそうならば自分が出るしかない」と述べています。そして、海老根篤と同様に「日本一の県議になることを確約致します」と述べています。

海老根まさ子の選挙結果ですが、得票数1,456票(総有効投票数34,576票、無効票943票)で4人中4位(定数3)となり、みどり市議会選に当選した元夫・現養子とは異なり落選してしまいました。

インディーズ候補が本当に当選してしまった事例は極めて少ないものの、その1例となったことで名を轟かせた海老根篤ですが、述べたように議会を除名されるという、予想外の事態に発展しました。しかし、この除名が取り消されるというさらに予想外の展開を見せています。今後、どのような活動をするのか、みどり市議会の議事録に注目したいところです。

*1:みどり市議会の議事録では海老根篤の様々な発言を見ることができます

*2:上で示した海老根篤の選挙公報に記載されている免許証では、誕生日が4月13日となっているため、立候補届出時は67歳となります