Experiments of Actin

『インディーズ候補』(泡沫候補)の特徴的な選挙活動を中心に少し変わった選挙、政治関係の話題を取り上げているブログです。

土居光政の選挙公報(2015年野木町議会選)

(この記事は同人誌『補導聯盟通信 2015年夏号』に掲載した文章を再編集したものです)

政治家には様々な要素が求められますが、基本的にはバカより頭がよいほうが望ましいに決まっています。2015年統一地方選の4月26日に行われた栃木県の野木町議会選に立候補した土居光政は自らの頭のよさを選挙公報で訴えました。下にその選挙公報を示します。

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写真が本来あるべきところが空欄になっているところが目立ちますが*1、その四角の枠の左側には日本民族史上最高頭脳男 土居光政 69才 降臨」という驚くべき文字列が示されています。日本民族史上最高頭脳男」という文字列から漂う頭のよさとは逆ベクトルの臭いがして、本当に素敵ですが、自ら「降臨」と書いている辺りからも同様の臭いが感じられて素敵です。しかしながら、謙虚であることが頭のよさではありません。「日本史上最高頭脳男」を自称するだけの頭脳を本当に持っていて、町のためによい政策を訴えているかどうか、選挙公報を読み進めて、分析してみましょう。

日本民族史上最高頭脳男」宣言の後、「私の主張」という7の項目に分けた文章がありますが、いの一番に「民主主義の即時撤廃」という主張から始まり、日本史上最高頭脳男であるかの判断はまだこれだけではできないものの、とにかく只者ではないということがわかります。そして、この次の政策は前項と関係したもので「民主主義の発展に寄与した者は、その全財産を没収し、これを死刑に処す」という余りにも物騒というか、壮絶すぎる主張が見られます。さらに次の項目では「警察官経験者、裁判官経験者、副検事経験者についても右に同じ」と警察官と裁判官、そして、検察部門ではなぜか副検事だけを死刑と財産没収の対象枠に入れることを主張しています。次の政策では民主主義への反発は収まったのか「銃刀法の廃止」というものを訴えていますが、それでもこれは穏やかな政策とは言えません。そして、次の項目では再び民主主義的な要素への反発が戻ったのか「階級制社会の確立」という驚くべき政策を主張しています。

このように過激な政策を5つ訴えましたが、残り2つは教育政策を主張しており、その内容は「義務教育は5年間とする」「大学受験に要する全ての資格を廃し、筆記試験のみで、その合否を確定する」とよく見てみると、これもかなり素敵な政策ですが(特に義務教育)、前の5つの主張のインパクトがあまりにも大きすぎるため、相対的にそういうものが薄まっている感はあります。

さて、このような政治的主張の次には学歴を示しています。都立戸山高校を卒業後、早稲田大の理工学部電気工学科を卒業したことが記されていますが、その次の経歴で「某大学大学院理工学研究科卒」となぜか大学院だけ具体的な大学名を記載していないのが気になります。さらに追記として、「この間に日本民族史上最高頭脳男との評価を得る」と記されており、(少なくとも土居光政の中では)「日本民族史上最高頭脳男」というのは自称ではなく、学校にいた間に誰かに評価を受けたものであることがわかります。

このようにわずかな選挙公報のスペースでとにかく只者ではないということを我々に知らしめましたが、この土居光政が「日本民族史上最高頭脳男」であるかの判断は皆様にお任せしようと思います。なお、この土居光政の得票数は18票(総有効投票数10,776票、無効票170票)で18人中18位(定数14)で落選という結果に終わってしまいました。個人的には「日本民族史上最高頭脳男」のリベンジを切に期待します。

*1:自治体によっては、選挙公報の右上に写真を掲載するようにテンプレートを示していることがしばしばあります