選挙ドットコムさんに寄稿しました(テーマ: 町村総会について)
選挙情報サイトの選挙ドットコムさんに以下の記事を寄稿しました。
今回は高知県の大川村で議会を廃止し、町村総会の設置を検討しているというニュースがあった事から、地方自治法下で唯一の町村総会の実施例である宇津木村の事例を紹介し、大川村で町村総会を実施するにあたり、困難な点はどういう点かという事を検討しています。
今回、宇津木村の事例を調べて、余りにも情報が少ないことが分かりました。これは離島な上に生活が困難であるとして、後に無人島になったほど人口が余りにも少ない島であったため、大きな報道機関が取材に行くことがなかっただけではなく、村当局の当時の記録も散逸していました。この情報が余りにも少ないという状況は、町村総会が過去に実施されたとはいえ、前例がないと見なしても良い状況にあることを意味します。つまり、町村総会の設置を検討している大川村は完全に手さぐり状態でやらなくてはいけないという事で、町村総会の導入が非常に困難なものになっている大きな理由の1つとなっています。また、この事は1950年代という比較的新しく、政治的な混乱がなかったような時期であっても、自治体の資料が散逸し、他の情報もほぼないため、歴史的に重要な出来事であったとしても、後世にその情報がほとんど残らない事がありうるという事も示しています。
なお、今回の記事および補足情報の参考文献情報は以下の通りです。
・両村で村民總會 市助氏、敷地擴張を提案, 南海タイムス 1950-11-05, 1.
・宇津木村に純粹民主々義, 南海タイムス 1951-04-08, 1.
・米よこせと村民總會 宇津木村長の行動不可解, 南海タイムス 1952-08-31, 2.
・宇津木村教委決る, 南海タイムス 1953-06-21, 1.
・各村合併の意志表明 さようなら"マイナス島政", 南海タイムス 1953-11-08, 1.
・高知・大川村 「村民総会」設置検討を正式表明, 毎日新聞 2017年6月12日 10時53分(最終更新 6月12日 17時11分).
・議会なくし「町村総会」設置検討へ, NHK NEWS WATCH 9 2017-06-12.
・榎澤幸広, 地方自治法下の村民総会の具体的運営と問題点-八丈小島・宇津木村の事例から-, 名古屋学院大学論集 社会科学篇, 2011, 47(3), 93.