Experiments of Actin

『インディーズ候補』(泡沫候補)の特徴的な選挙活動を中心に少し変わった選挙、政治関係の話題を取り上げているブログです。

宮田勝三の選挙公報(2015年小牧市議会選)

今回は2015年10月4日に投開票が行われた愛知県の小牧市議会選に立候補した宮田勝三を紹介します。この宮田勝三は1990年代から小牧市限定ながらも市長選や市議選、愛知県議選に立候補しているベテランインディーズ候補です(当ブログでも2015年2月の小牧市長選の時や前回の2011年10月の小牧市議会選に立候補した時の選挙活動を紹介しています)。今回の小牧市議会選も立候補するのか、(個人的に)大きな注目となっていましたが、期待を裏切らず立候補しました。

さて、それでは今回の選挙公報を下に示します。

今回もなかなか個性的な選挙公報ですが、名前のところを見てみると、無所属であった市長選と異なり、今回は2011年の小牧市議会選に立候補した時と同様、「減税日本一」という「減税日本」と「日本一愛知の会」という既存の地域政党の名前を拝借したと思われる政治団体を名乗って立候補していることが分かります。

次に右側の方から見てみましょう。大きく「市政改革を!!」とびっくりマークを2つ使って書いており、この文字の右側には「今の市政は脳性マヒ状態」「議会は監視機能不全症」と激しい言葉で市政に関して強く批判し、そこに続いて、具体的な政策として道路整備による渋滞解消と老人ホームの不足を訴えています。

そして市政改革以外で大きな文字で訴えている所を見てみると「今世紀最大の巨額125億円借金の上 病院建て替えムダ使い阻止!」と書いてあり、(小牧市の運営している)病院の建て替えに強く反対しています。この病院建て替え反対は2015年2月の市長選でも訴えていましたが、今回はこの大きな文字の右側にその件に関して詳しく文章を書いており、この選挙公報では一番のボリュームを示しています。それでは、この右下を詳しく見てみましょう。ここでは「鉄筋コンクリートは100年耐えるのは中学理科の問題 それを、多少31年で125億円借金の上、建て直しは余りにもムダ使い」と何故か中学の理科をを持ち出して鉄筋コンクリートは100年持つと主張し、それなのに31年で建て替えるのはムダであると断じています。そして建て替えるのであれば、病院を独立採算で行い、200億円積み立てよと主張しています。さらにこの後には驚くべき事に宮田勝三が5万5千円を使って、病院の建て替え差し止め訴訟を展開している旨を示しています。

この病院建て替え反対の大きな文字の左上には建て替え中止で浮いたお金の使い道を述べています。まず、私鉄の名古屋鉄道に出資して、小牧線名古屋駅に直接乗り入れできるようにするということを述べ、さらに市民に振興券を4万円ずつ配布することを述べています。なお、2015年2月の市長選でも病院建て替え中止で浮いたお金の利用を述べていますが、この時は市民に振興券を2万円ずつ配布とだけ記しており、配布する振興券の金額が倍になっただけではなく、名古屋鉄道への出資もすると派手になった理由が結構謎です

この他に外側にいくつか文字が書いてありますが、これも読み解いてみましょう。まず、右端の文字に注目してみますが、一番左側の行は一体何が書いてあるのか、細かすぎて不明な状態で色々と素敵な感じです。さらに右の行もみづらいですが、ここには「南極の氷がとけると海水面が70m上昇」という文が書いてあることが分かります。これは今回の選挙公報で記していませんが、2015年2月の市長選2011年10月の市議会選でも訴えていた地球温暖化の危機を訴えていることが推測されます。さらに右の行を読み解いてみましょう。この行では日銀総裁北朝鮮」という文字は解読ができるものの、その後の文字がまたもや不明で一体何を訴えたいのか謎です。次に選挙公報の下の方に移りますが、ここでは何故か筆記体"May all your days be happy!"という英文が記されており、文の意味はともかくとして、どうして英文を書こうと思ったのかと思わせます。最後に左下の離れた隅にある文字に注目するとかなり小さい文字で「虫メガネで見て下さい」と書いてあり、宮田勝三自身もこの選挙公報を細かく書きすぎたと思っていることが分かります。

また今回も選挙公報だけではなく、ポスターを撮影することができましたので、下に示します。

一目見て、非常に強烈なポスターであることが分かります。また、強烈さだけではなく選挙ポスターでは一番肝心な候補者の名前は下に小さく「ミヤタカツゾウ」と書いてある点も素敵な所です。まず、中央の赤いイラストっぽい部分を見てみましょう。この赤いイラストは涙を流しているダルマの様でこのことは左上に「七転八起」という文字があることからも分かります(なお、最初見た時にルパン3世のマークが一瞬脳裏に浮かんだことを付記しておきます)。そして、この「七転八起」の文字の部分を見てみると、左に「十六転一起」と書いてあり、今回が16+1で17回目の挑戦であることを示唆する文字がありました。

また、これ以外のポスターの内容ですが、基本的に選挙公報で示した内容が示されています。ただ、選挙公報では鉄筋コンクリートが100年持つことを中学理科を持ち出して示していましたが、このポスターでは「57年前の高校入試問題で常識」と57年という具体的すぎる数字を示しているところが注目されます*1。なお、今回もポスターの紙は選挙ポスター用の紙ではなく、普通のコピー用紙であったことを付記しておきます。

このように今回も強烈な選挙活動を繰り広げた宮田勝三ですが、結果は得票数369票(総有効投票数57,258.995*2、無効票1,546票)で32人中32位(定数25)で今回も落選し*3、ポスターに示した「十六転一起」は達成できませんでした。

*1:ただ、宮田勝三の年齢が72歳であることを考えると57年前というのは自身の高校入試の経験であることが示唆されます

*2:按分票があったため小数点以下となっています

*3:http://www.city.komaki.aichi.jp/senkyo/kekka/014919.html