Experiments of Actin

『インディーズ候補』(泡沫候補)の特徴的な選挙活動を中心に少し変わった選挙、政治関係の話題を取り上げているブログです。

山口節生の選挙公報(2015年さいたま市議選 南区選挙区)

今回は統一地方選の前半戦である4月12日に投票が行われたさいたま市議選 南区選挙区に立候補した山口節生を紹介します。

もはや説明不要の大物インディーズ候補である山口節生ですが、今回も新たな伝説を作りました。以前、紹介しましたように今回は執行猶予の付かない実刑判決を不服とし、最高裁に控訴をしている最中に立候補しましたが、選挙期間中に最高裁の控訴が棄却され、実刑が確定し、公民権を失ったため立候補が却下されるという前代未聞の事態に発展しました。

下の図はさいたま市選挙管理委員会のウェブページに掲載されていた立候補者情報ですが、立候補が却下されたことにより、山口節生の部分が赤線で消されるという、非常に珍しいものになっていました。

さらに選挙ポスターはポスターの上に白い紙がかぶせられ、「この紙は、はがさないでください。」と選挙管理委員会の判入りの紙が貼られるという、今まで見たことがない状態になっていました(なお、山口節生のポスターについては「広報用掲示板」の運営者であるrukaruruさんがウェブサイトにて紹介しています。ただ、私が今回、撮影したポスターは選挙管理委員会の紙の下にカラーの紙が見えるため、rukaruruさんが撮影したバージョンとは違うものである可能性があります)。

また、選挙公報ですが、立候補却下前にすでに発行されており、再印刷も不可能なため、特に修正も無く配布されました*1。それでは、この選挙公報を下に示します。

大きく「残そう9条2項。防衛軍よりも自衛隊。国が永遠のものになる。」「自衛隊の軍隊化にノーを言う日本人に投票を」と書かれており、今回の山口節生の主張が分かります。しかし、いくつかに分割されている細かい所を見てみると、基本的にこのような主張とかけ離れたことばかり、書かれています。

上の部分の文章を見てみましょう。「世界史に残る大捏造事件」という文から始まり、自分が駐車違反の調書を破いて逮捕されたこと警察の偽造、ねつ造であることを具体的な人名や裁判所を挙げて糾弾し、さらにはこのねつ造を調査するために市議になり、政務調査を行うという、なかなか壮絶なことを宣言しています。そして、下の部分の文章を見てみると、裁判の宣誓書もねつ造されていることを主張し、「500人が死刑以上の罪を犯したことになる」と今までの山口節生の発言と比較しても、かなりとてつもないことを述べています。

最後に左の部分の文章を見てみましょう。「どうか一票をお与え下さい」と述べ、平和を守るための運動が必要であることを主張し、大きく書いた政策的な内容に近いことを書いています。しかし、これら文章の後に『「山口節生 冤罪」で調べて下さい。世界史に残しましょう』と自分の現在の罪が世界史に残るレベルの冤罪であるというとてつもない主張に戻ります。この後も自分が冤罪であることを主張しつづけ、最後に「すべて即座に見ただけでわかる偽造を行なっていた。」という大きめの文字で締めています。

このように選挙公報で世界史に残るレベルの冤罪であることを主張しましたが、選挙そのものは前述の通り、よりによって選挙期間中に最高裁が控訴を棄却し、実刑が確定し、立候補が却下されるという、とてつもない幕切れとなりました。このため、今回の選挙では「山口節生」と記載された票はカウントされず、無効票になるという事態になりました。なお、南区選挙区の総投票数は51,614票であり、その内、932票が無効票でした。そして、最下位候補者の得票数は1,609票であったため、万が一、無効票の全てが「山口節生」と記載されていても、ビリであったことになります。*2

さて、今後の山口節生ですが、実刑の期間は懲役8か月となっており、そこまで長くはありません。ただ、山口節生深谷市長選の時の選挙公報で年収が250万円であり、困窮していることを伺わせる文章が書かれていたこと山口節生の本業である不動産鑑定士は禁固以上の刑を受けた場合、執行終了3年間は仕事ができないため*3、収入面でかなり苦境に立たされることは必須な状況になっています。このため、今後の山口節生の活動は出所後はかなり低調になることが予想されます。とはいえ、様々な選挙に立候補し、長年活動を続けていた山口節生なので、刑を満了し、再び我々の前に姿を現すことを切に期待するものです。

*1:なお、さいたま市選挙管理委員会選挙公報が掲載されていたウェブページでは山口節生が立候補却下されたことが記されていました

*2:http://www.city.saitama.jp/006/014/008/003/004/001/p041359.html

*3:不動産の鑑定評価に関する法律 第十六条