Experiments of Actin

『インディーズ候補』(泡沫候補)の特徴的な選挙活動を中心に少し変わった選挙、政治関係の話題を取り上げているブログです。

和合秀典、脱税容疑で逮捕される

和合秀典というインディーズ候補がいます。この人物は新党フリーウェイクラブ」という政治団体を設立し、高速道路の無料化や高速道路の拡充を訴え、2007、10年の参議院選東京都選挙区と2009年の衆議院選東京11区から立候補した経験があります。なお、いずれの選挙も最下位かブービーという惨憺たる結果に終わっていたりしています。

この和合秀典は2000年代後半から活動を始めた訳ではなく、1980年代から「フリーウェイクラブ」を結成し、活動を行っており、選挙活動はしていなかったものの、その活動期間は非常に長いと言えます。この「フリーウェイクラブ」の活動の当初は高速道路の値上げに反対し、値上げ前の料金だけ支払うという活動を行っていましたが、その後、紆余曲折を経て、料金を支払わないという活動に切り替えました。

フリーウェイクラブ」の興味深い点として、和合秀典の1人運動ではなく、趣旨に賛同した人が集まり、それなりの規模の組織になっており、報道等でも紹介されていた点です。さらに、田中健という1995年から江戸川区議に5回当選し、現在も議員を行っている人物が幹部として在籍していた事は特筆に値します。

この「フリーウェイクラブ」ですが、活動当初から当然の如く、各種の警告を受けていたり、強制執行を食らっていたものの、2006年に和合秀典を始めとした会員が逮捕され、罰金刑を食らい解散、その後、料金を払わないという直接運動から無料化を訴える穏健路線に転換し、政治団体として「新党フリーウェイクラブ」を設立し、前述した3回の国政選挙に立候補しました。

2010年の参議院選東京都選挙区での立候補以降、和合秀典の政治的な活動は鳴りを潜めており、報道等に名前が出てくる事はありませんでしたが、2014年10月になって、和合秀典の名前が再び報道に出てきました。

東京新聞, 2014年10月2日 夕刊, 「貧困ビジネス」脱税疑い 宿泊所運営 6300万円 男を逮捕

何と、政治的な動きではなく脱税の疑いで逮捕されたのことですが、さらに衝撃的な事として脱税の収入源が生活困窮者から生活保護費を集め、住居費や生活費の名目で大部分を徴収する、いわゆる貧困ビジネスである事です。この記事によると、2009年と10年の合計2年で1億7千万円の所得を隠していたようで、もしかしたら、この収入が選挙活動に使われたのではないかという疑いが出てきます。そして、この和合秀典の貧困ビジネスですが、別のニュース記事によると、2011年5月の時点で問題になっていたようで、入居していた5名が劣悪な状況で生活保護費12万円の内10万円を搾取されたという事で民事裁判に訴えていた他、今回のニュースには埼玉の反貧困ネットワークにも今回の逮捕が下記の様に第一歩とツイートするなど、かなりブラックな事を行っていたと思われます。


この脱税容疑以前の逮捕は高速道路無料化を訴える上での直接的行動から起きた逮捕で、犯罪であることは事実とはいえ、ある種の政治的主張が絡んだうえでの逮捕でしたが*1、今回はそういう物が無い単純な脱税な上に(和合秀典本人の本心はどうだかわかりませんが)生活困窮者を食い物にするタイプの非人道的、外道的な事業を行っていた事がある種の衝撃と和合秀典に対する評価の低下を個人的に感じました。

今回の事件に関しては、状況が解明され、適切な処置が取られる事を願うばかりです。

*1:無論、政治的主張だからといって、犯罪が許されるわけではありませんし、それによって刑罰が増減があってはいけないと思います