Experiments of Actin

『インディーズ候補』(泡沫候補)の特徴的な選挙活動を中心に少し変わった選挙、政治関係の話題を取り上げているブログです。

田中進の選挙公報(2013年国分寺市長選)

今回は今更感がありますが*12013年6月23日に投開票が行われた東京都の国分寺市長選に立候補した田中進を紹介しようと思います。

今まで、インディーズ候補を紹介してきましたが、選挙公報を見た時点でこれはすごい、というようなインディーズ候補がたまにいます。例えば、外山恒一の「政府転覆」、「こんな国滅ぼそう」のように大きく書いてある文字の内容が過激というパターンもありますが、一般的には手書きで一体何を書いているのか、一目では不可解というパターンが比較的多い感じがあります*2。今回、紹介する田中進の選挙公報も後者に属する選挙公報です。

さて、それでは、田中進の選挙公報を下に示します。

見た目からして凄まじいインパクトがありますが、内容はどうでしょうか。十分、読み解けるレベルの文字ですので、少し読み進めて見ようと思います。

まず、「自立党を立ち上げます」と述べ、政治団体の設立を宣言しています(ただし、本選挙では無所属で立候補)。その隣には「星野現市長の提唱する「青少年の権利と未来を守ろう条例」の早期実現を!!」と書いており、教育問題を訴えています。この自立党設立宣言の後には主張が丸囲数字で1から5まで書いており、その内容は「子どもの親からの自立」、「夫の妻からの自立」、「身体活動の自由、精神の解放自立」、「地方政治の中央統制からの自立」、「「社会的弱者」の就労支援」となっています。さらにこの下には「自立度指数」の提唱と家事労働をGDPに参入する事を訴えており、「自立」という単語にかなりのこだわりがある事が伺えます。

このように文章の見た目の割にはまともな主張が見えますが、読み進めてみると、「Environment, Economics, Welfareの三位一体改革を!!」、「"Slow Life, Slow Food" Work Life Balanceのとれた安全安心なSustinable Societyの樹立!!」と主張内容はともかくとして、感嘆符の多用と唐突な英語が飛び出します。

そして、「国分寺の為の四大政策」を唱えますが、ここでも、「当市のStaffは全国一」や「近隣都市とPartnershipを!!」と英単語の使用と最後は感嘆符2つという事が見られます。ただ、見た目のインパクトの強さの割には政策内容はさほど過激であったり、奇矯な事は言っていない点は注目すべき所です。

また、一番読みづらかった右下のプロフィールらしき文章を解読しますと、18歳で上京し、東京大を卒業後、富士銀行に入行、その後日本警備保障や東京トヨペット、運輸倉庫会社で勤務し、学習塾の講師を20年以上続けた事が書いてあり、事実だとすれば東大卒という何気に高学歴である事も分かります。さらに最後に「一橋大、都立大、放送大(去年卒業)」という文が書いてあり、にわかには信じがたいですが、これらの経歴も事実だとすれば、結構高レベルな複数大学の卒業歴がある事も分かります。ちなみに同じく東大と一橋大のダブル卒業を主張している人物としてはあの山口節生がおり、そういう意味で何か奇遇な物を感じます。

さて、肝心の選挙結果*3ですが、下表の様になり、主張は奇矯で無く、まともであったためなのか、無効票2.425票より多い、2,682票を獲得し、得票率6.24%とかなり健闘したと言えます。

井沢邦夫(現職:自民、維新、公明推薦) 23,799(55.34%)
三葛敦志(新人:無所属*4 ) 16,509(38.42%)
田中進(新人:無所属) 2,682(6.24%)

*1:原稿を書いていて、そのまま忘れていて、最近発掘したという事情があります

*2:何を書いてあるか不可解という最も顕著な例は1999年の東京都知事選に立候補した津田宣明の選挙公報が挙げられます

*3:http://www.city.kokubunji.tokyo.jp/dbps_data/_material_/localhost/150000/s151500/H25sihou_file/H250701/H25.7.1_P01.pdf

*4:無所属かつ推薦なしでしたが、本人サイトによると民主党系の感じがします