ついに国政選挙の選挙公報がネットで全面公開!
現代日本において、インターネットは広く普及しているにもかかわらず、インターネットを利用した選挙活動は厳しく制限されています。このブログでもこの件に関して、選挙公報とか政見放送とかをインターネットで公開すべきではないか、と言うような記事を書いていたりしていました。
選挙公報のインターネット公開に関しては、上のリンクで張った記事で紹介した仙台市議会選の例のように東日本大震災の被災地の選挙において、被災者への情報提供の場を増やす目的で試験的に行われたことがありました。しかし、ついに総務省が次期以降の国政選挙に関しては、インターネットで選挙公報を公開するという事を決定したようです!
時事通信 2012年4月5日 選挙公報、ネット公開可能に=次期国政選挙から−総務省
今まで、何で選挙公報のインターネットでの公開をしなかったんだ、と思っていただけに、久しぶりに行政良い事をしたな、と思いました。この選挙公報のインターネット公開のメリットは計り知れませんが、とりあえず、今回は社会的なメリットという事は置いておいて*1、このブログというか、インディーズ候補見物人としての選挙公報インターネット公開のメリットをいくつか書いてみましょう。
*インディーズ候補の発見が容易
まず、大きなメリットとしてはインディーズ候補の発見が容易になる事です。又吉イエスや羽柴誠三秀吉クラスならまだしも、地方のマイナーで個性的なインディーズ候補というのは、なかなか発見が容易ではありません。新聞などの立候補者一覧でこのような個性的なインディーズ候補を推測する方法の1つとして、所属が諸派や無所属である、というのが挙げられます。ただ、無所属=インディーズ候補と言う基準は国政選挙で言えることで、地方選挙において無所属候補というのは、しばしば見られます。また、選挙後の得票数から判断する方法ですが、これも実際に選挙公報を見てみると得票数が極めて少なくても、個性的な選挙公報では無かったりすることが多々あります。一方で、結構な得票数の候補の選挙公報が特徴的であったり、レアケースとしては既存政党の地域支部の幹部級の選挙公報が個性的であったりする例も見られます*2。さらに、次以降で述べるように郵便代等の様々な関係上、手当たり次第、無差別に選挙公報手に入れられる訳ではないので、インターネットで全ての選挙公報を漏らさず見られるのは非常にありがたいわけです。今回の選挙公報のインターネット公開は国政選挙のみでそういう意味ではメリットが薄そうですが*3、今回がきっかけで地方選挙でもこの流れになれば、インディーズ候補発見と言う面では今までと比較すると非常に容易になります。
*郵便代が節約できる
次に泥臭い話ですが、思いつくのが郵便代が節約できるところですね。ここで、どういう風に選挙公報を手に入れているかを暴露しますと、選挙管理委員会に切手貼った返信用封筒と「忙しいところすいませんが、選挙公報送っていただきませんか」という文章を書いた紙を封筒に入れて、送っていたりします。立候補者が多い選挙とか、選挙区がたくさんある選挙とか、例外はありますが、基本的に小さな市議会選程度のレベルだと、定形郵便の封筒を返信用封筒に入れています。この際、自治体によって紙質や構成が結構異なり、重さがどうなるか見当がつかないので、定形郵便の重い方の料金、つまり90円切手を貼っています。そして、この返信用封筒が入った、選挙管理委員会に送る封筒は定型で25 g以下なので、80円で済みます。従って、1つの選挙公報を郵便で送っていただけるようにお願いするには最低170円かかる事になるわけです。この費用が節約できるのは結構大きいと個人的には思います*4。
*選挙公報が必ず見れる
選挙管理委員会に選挙公報を送っていただけませんか、とお願いしても、送っていただけない事がたまにあります。向こうも忙しい中、地元民でもないのに無理言っているので、送っていただけたら嬉しいな、という感覚ではありますが、それでも、見れないというのは口惜しい物があります。選挙公報がインターネット公開されたら、少なくともこういう事態は避けられそうです。
*選挙公報の保管整理が容易
統一地方選とか、そういう時に顕著なのですが、選挙公報の保管整理は結構、悩ましいところです。前述した統一地方選の場合は複数の段ボール箱に文字通り山のように選挙公報が入る位はあるので、保管と言う意味でも、どこに何があるかという整理の意味でも非常にこの辺りは大変です。もし、デジタルデータになっているのであれば、保管と言う面でも、整理と言う面でも、現物と比べるとは非常に容易になります。
以上、身勝手なインディーズ候補見物人の視点からのメリットをいくつか挙げてみました。とりあえず、今回は国政だけで、上に挙げたメリットを全て享受できそうにはありませんが、この流れで地方選挙の選挙公報もインターネット公開に動くとありがたいと思います。
ちなみに地方選挙でのこのような選挙公報のインターネット公開の実際の動きですが、この総務省の決定の半月ほど前に神奈川県大和市で選挙公報のインターネット公開について議論されていましたが、この時は市議会の反対多数で否決されています。
神奈川新聞 2012年3月23日 大和市議会が選挙公報電子化案を否決/神奈川
とはいえ、反対派の理由は「電子化自体には賛成だが、関連する国の法整備がされてから、実施しても遅くはない」とのことなので、今回、総務省が選挙公報のインターネット公開の決定をした事によって、反対の理由がなくなったと言えます。
個人的には社会的意味でもインディーズ候補見物人としての意味でも、今回の国政選挙の選挙公報のインターネット公開は非常に良い物だと思います。この勢いで、選挙公報を発行する全地方選挙の選挙公報公開と政見放送のインターネット配信にも進んでもらいたいものですね。