Experiments of Actin

『インディーズ候補』(泡沫候補)の特徴的な選挙活動を中心に少し変わった選挙、政治関係の話題を取り上げているブログです。

選挙ドットコムさんに寄稿しました(テーマ: 無投票工作)

選挙情報サイトの選挙ドットコムさんに以下の記事を寄稿しました。

go2senkyo.com

今回は現職を中心とした候補者たちが談合を行い、選挙を無投票にしようとする不正である「無投票工作」について、1994年の沖縄県伊良部町議会選と2003年の青森県の東北町議会選という2つの実例を交えて紹介しています。

なお、記事中で紹介できなかった補足情報を紹介します。
今回のテーマは候補者たちが談合を行い選挙を無投票にするという手口ですが、珍しい無投票工作の事例として、他候補の立候補辞退の書類を偽造して、無投票に持ち込もうとした事例があります。
このような事件が起きたのは1969年の埼玉県の飯能市農業委員会選でした(農業委員会は公選制であった時期があります。詳しくはこの記事を参照してください。)。この選挙では、各地区の推薦人のみが立候補するという形で談合に無投票工作が画策されていましたが、地区推薦からもれた人が「推薦候補決定の舞台裏が汚い」として、立候補したため、選挙戦に突入しました。選挙戦突入後も他候補が立候補を辞退するようにしたものの、応じなかったため、ある手段に出ます。それはこの推薦からもれた候補の名字の印鑑を購入し、委任状と立候補辞退届出を偽造して、選挙管理委員会に提出したのです。しかし、この動きを察知していた推薦から漏れた候補が選挙管理委員会に事前に連絡を入れていたため、文書偽造作戦は失敗に終わっています。

今回の記事および補足情報の文献情報は以下の通りです。
・不祥事生んだ”悪習” -飯能市の農委無投票工作事件- 「利根川」を書類送検へ, 読売新聞 1969-08-22 埼玉朝刊, 16.
粟野町議選で買収合戦か 現金や商品券、証言続々, 朝日新聞 1989-04-25 栃木夕刊.
・大量移送にチャーター機 伊良部町議ら逮捕で沖縄県警【西部】, 朝日新聞 1995-01-09 夕刊, 2.
・現金渡し町議選で無投票工作 議員と辞退候補ら逮捕 沖縄・伊良部町, 朝日新聞 1995-01-09 夕刊, 14.
・沖縄・伊良部町 選挙ごとに大金動く 有権者、批判の一方期待も…, 読売新聞 1995-01-12 西部夕刊, 6.
・沖縄・伊良部 公共工事利権をめぐり 町長・反町長派の対立深く 議長選で発覚, 読売新聞 1995-01-12 西部夕刊, 7.
伊良部町長も逮捕 関与の疑い 町議選無投票工作事件【西部】, 朝日新聞 1995-01-13 夕刊, 9.
・沖縄・伊良部町議を新たに2人逮捕 無投票工作事件【西部】, 朝日新聞 1995-01-21 朝刊, 27.
沖縄県警から捜査員 伊良部町長・町議補欠選(95選挙)【西部】, 朝日新聞 1995-04-06 夕刊, 2.
・町議候補が転出届 青森・東北町、無投票工作か, 朝日新聞 2003-04-26 朝刊, 34.
・「密約」ついに露呈 東北町議選の候補転出問題、町長が関与/青森, 朝日新聞 2003-12-09 青森朝刊, 35.
・「軽率だった」前川前町長、陳謝 東北町議選無投票工作問題/青森, 朝日新聞 2003-12-13 青森朝刊, 31.
・無投票工作関与で町長辞職「助役」の密約、破られ暴露(東北発), 朝日新聞 2003-12-17 朝刊, 37.
・東北町議選無投票工作、前町長ら4人聴取 公選法違反容疑で/青森, 朝日新聞 2004-02-04 青森朝刊, 25.
・前町長と前議長穂逮捕 町議選、無投票工作の疑い 青森・東北町, 朝日新聞 2004-02-06 朝刊, 39.
・町議会、異常事態に 東北町議選の無投票工作事件/青森=続報注意, 朝日新聞 2004-02-24 青森朝刊, 31.
・町議ら17容疑所、書類送検 青森・東北町の無投票工作, 朝日新聞 2004-02-24 朝刊, 37.
・東北町議が辞職願提出 町議選無投票工作、引責3人目, 朝日新聞 2004-04-01 青森朝刊, 29.
・地検、町議ら15名起訴猶予 東北町議選の無投票工作/青森, 朝日新聞 2004-05-11 青森朝刊, 29.
・東北町議11人、リコール不成立 署名、届かず, 朝日新聞 2004-08-18 青森朝刊, 29.
・逮捕10町議、辞職 交流の議長に「願い」睦沢町/千葉, 朝日新聞 2004-10-15 千葉朝刊, 31

五十嵐博臣の選挙公報(2015年江戸川区議会選)

(この記事は同人誌『補導聯盟通信 2015年夏号』に掲載した文章を再編集したものです)

昔の選挙にはしばしば分かりやすい街宣右翼的な過激な右翼候補が立候補していました。しかし、最近ではこのような候補者はほとんど見られなくなっています*1。この2015年の東京都の江戸川区議選に立候補した五十嵐博臣は最近では珍しい昔ながらの街宣右翼タイプの候補です。

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選挙公報を上に示しました。この五十嵐博臣は「大日本神民塾」という名称の政治団体に所属しており、これは昔ながらの右翼だということを強く感じさせます。内容もいきなり「日の丸世直し」と大書きし、「日本人よ、目を覚ませ!」「日本は畏れ多くも天皇陛下の国、皇国である」という文章に始まっています。そして、「既成政党による、金権腐敗偽善馴れ合ひ政治に終止符を!」「墨夷(アメリカ)自主独立憲法の策定」などの記載があり、昔ながらのある意味分かりやすい右翼であることが示されています。

このような昔ながらの右翼系の候補は雑誌等も注目していたようで実話ナックルズ7月号」*2にて、3ページもかけて紹介されています。この記事によると十代からこのような右翼活動を行っていること、右翼街宣車での選挙活動を考えていたこと(これは公職選挙法に触れるためできなかったとのこと)、右翼関係の人物が入れ代わり立ち代わりで応援演説をしていたこと、ポスターが昔ながらの街宣右翼のビラ的であったこと等が詳しく書かれていました。

さて、このような活動を行った五十嵐博臣ですが、得票数270票(総有効投票数219,956票、無効票5,746票)で58人中58位(定数44)という結果に終わってしまいました。

なお、前述した実話ナックルズの記事によると「今後も機会があれば公的な手段を使って右翼活動を展開したい」とのことで、どのような選挙活動を展開していくのか、気になる所でしたが、選挙活動は見られず、2018年5月に保険金の詐取容疑で逮捕されていました。

www.sankei.com

(7/24追記)
本人のブログによると、20日間拘留されたのち、5月28日に嫌疑不十分で釈放されたとのことです。

blog.livedoor.jp

*1:過去に右翼系候補が大量に立候補した理由として、純粋な目的で立候補していた人もいたものの、自民党といった保守勢力から資金を提供されていた候補が多数いたことが挙げられます。このような候補は左派勢力の妨害や減票工作をしたり、選挙用はがきを与党の特定候補に横流ししたりといったことをしていました(これに関しては同人誌 『補導聯盟通信 2016年冬号』に詳しく記載してます)。しかし、時代が進むにつれ、このような資金提供がなくなり(また、同時に活動家自身が高齢化し)、このような資金提供を受けて立候補するタイプの候補はいなくなりました

*2:田口宏睦、結束武郎,現役右翼 選挙に出る,実話ナックルズ,2015年7月号,ミリオン出版

選挙ドットコムさんに寄稿しました(テーマ: 高齢政治家)

選挙情報サイトの選挙ドットコムさんに以下の記事を寄稿しました。

go2senkyo.com

今回は高齢の政治家について、取り上げています。

今回の参考文献情報は以下の通りです。

wikipedia英語版: Strom Thurmond
wikipedia英語版: List of United States Senators from South Carolina
wikipedia英語版: United States Senate special election in South Carolina, 1954
wikipedia英語版: United States Senate special election in South Carolina, 1956
wikipedia英語版: Mahathir Mohamad
wikipedia日本語版: 内閣総理大臣
wikipedia日本語版: 尾崎行雄
首相官邸ウェブページ>歴代内閣