Experiments of Actin

『インディーズ候補』(泡沫候補)の特徴的な選挙活動を中心に少し変わった選挙、政治関係の話題を取り上げているブログです。

選挙ドットコムさんに寄稿しました(テーマ: 繰延投票)

(2018年9月27日追記: 沖縄県知事選に伴い、記事の内容をアップデートしました)

選挙情報サイトの選挙ドットコムさんに以下の記事を寄稿しました。

go2senkyo.com

今回は公職選挙法第57条に規定されている、天災などが発生した際に投票日を延期あるいは追加で後日に設定することができるという繰延投票について、最近の事例と過去2例あった国政選挙の事例も含めて、紹介しています。

なお、補足情報ですが、この公職選挙法は投票を延長するもので、選挙告示前に大規模災害が発生し、各種の事務手続き含めた選挙の実施が当面不可能になった場合はこの公職選挙法第57条ではなく、国会で特別な法律を定める形で選挙の執行を延長します。最近では2011年3月に発生した東日本大震災の際に「平成23年東北地方太平洋沖地震に伴う地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律」という特例法が定められ、指定された自治体は4月に行われる予定の統一地方選を実施せず、後日に延期されました。また、同様の法律は阪神淡路大震災の時にも制定されています。

また、繰延投票を決めるタイミングですが、投票前に決める以外にも、投票終了後に投票所に行くことができなかった有権者が多数いたと判断された場合に繰延投票を実施する事があります。1974年の参議院選での繰延投票は投票後に実施が決定されたようです。

今回の参考文献情報は以下の通りです。

・投票繰延べ検討 自治省 八代市五木村から要請, 朝日新聞 1965-07-03 夕刊, 1.
・11日に投票繰延べ 豪雨被害で五木村など, 朝日新聞 1965-07-04 朝刊, 1.
・さっそく”見舞”に 投票繰延べの水害地 長グツの候補者, 朝日新聞 1965-07-05 朝刊, 3.
・”特攻隊”も繰込む 参院選投票繰延べの熊本・水害地 六年議員ねらう三候補, 朝日新聞 1965-07-07 朝刊, 15.
・再繰延べの心配去る 五木・坂本村の投票, 朝日新聞 1965-07-07 夕刊, 10.
・あす繰延べ投票 熊本県の両村, 朝日新聞 1965-07-10 朝刊, 1.
参院選 全議員が決る, 朝日新聞 1965-07-12 朝刊, 1.
・繰り延べ投票検討 被災の三重・五市町村, 朝日新聞 1974-07-08 朝刊, 2.
三重県の一部 14日に再投票, 朝日新聞 1974-07-08 夕刊, 2.
参院選 延長戦プレーボール, 朝日新聞 1974-07-09 夕刊, 11.
・ミニ版・再度の保革激突 水害の伊勢市 候補者も作業服姿, 朝日新聞 1974-07-10 朝刊, 19.
・最後の票田に押しかけ救援 参院選延長戦 候補者 ぬれた畳運び 住民、機動力にびっくり, 朝日新聞 1974-07-11 夕刊, 10.
・きょう限り、白熱 参院選の延長戦, 朝日新聞 1974-07-13 夕刊, 10.
・延長参院選 ”ミニ運動”終わる 三重県の4投票区 被災地、再び静か, 朝日新聞 1974-07-14 朝刊, 19.
・逆転当選やはりなし 三重県下の「延長参院選投票率77%超す, 朝日新聞 1974-07-15 朝刊, 1.
・延長参院選、熱気の中で開票 ミニでも金は一人前 過熱応援合戦 数千人くり出す, 朝日新聞 1974-07-15 朝刊, 19.
・台風で選挙繰り延べ 沖縄・竹富町議補選【西部】, 朝日新聞 1992-08-31 朝刊, 22.
・1週間延期のおいらせ町長選、3カ所であす投票/青森県, 朝日新聞 2010-03-6 朝刊 青森全県, 29.
・(青鉛筆)竹富町長選を延期させた犯人は…【西部】, 朝日新聞 2012-08-25 朝刊, 31.
・宇検・龍郷は予定通り実施 奄美群島町村議選、台風15号影響/鹿児島県, 朝日新聞 2012-08-26 朝刊 鹿児島全県, 31.
・台風で投票延期 沖縄・豊見城市長選【西部】, 朝日新聞 2014-10-11 朝刊, 34.

山崎正義の選挙公報(2015年長岡市議会選)

(この記事は同人誌『補導聯盟通信 2015年夏号』に掲載した文章を再編集したものです)

今回は2015年4月26日に行われた新潟県長岡市議会選に立候補した山崎正を紹介します。

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上に示した選挙公報を見てみると、心の健康、体の健康、少子化対策を挙げ、その後にビタミンB群が重要であることを述べており、ビタミンB群が恐るべきパワーを持つ万能薬の様に扱っていることが示唆されます。このビタミンB群への並々ならぬ傾倒は他の所にも見られ、トリプトファンが生体内でニコチン酸(ビタミンB3)に化学変化する経路を選挙公報の枠線の様にして、記載しています(中間体のキヌレニンと3-ヒドロオキシアントラニル酸はベンゼン環のみでベンゼン環に結合しているものを記載していないのは気になる所です)。なお、山崎正義の経歴として、元海技士から現在菌茸生産資材卸業を経営していることが記されています。きのこ類は比較的ビタミンB類を含むことから、きのこ関係の仕事を始めてから、ビタミンB群に傾倒するようになったのか、あるいはビタミンB群に傾倒した結果、きのこ関係の仕事を始めるようになったのかは気になる所です。

また、山崎正義のここには記されていない面白い経歴が1つあります。それは長岡市議会議員をしていた経験がある人物なのです。なお、前回の2011年の選挙にも元職で立候補しており(つまり、2007年以降は議員経歴が無い)、この時は定数38の所に立候補して40人中39位という結果に終わっています。

今回の選挙では得票数1,448.106票(按分票として、小数点以下の得票数となります。総有効投票数117,753票、無効票1,910票)で40人中37位(定数32)で落選という結果*1に終わってしまったものの、比較的健闘したと言えます。

武田文明の選挙公報(2015年千葉市議会選 若葉区選挙区)

(この記事は同人誌『補導聯盟通信 2015年夏号』に掲載した文章を再編集したものです)

今回は2015年4月12日に行われた千葉市議会選 若葉区選挙区より立候補した武田文明を紹介します。

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上に示した選挙公報を見てみますと、町工場で50年も板金工をしていたという職人であることを述べ、実業の面として2つのことを提案しています。この提案の1つ目は「新型電気自動車の開発」です。どうも文章を見てみると、自分で開発したものを導入するようで「まだ試作段階ですが充電式ではありません。誰でも手軽に乗れる安全方式です」と記されており、自らの発明を政治に持ち込もうとするこの姿勢はミニ版ドクター中松的な感もあります。そして、2つ目は口内炎にならない健康緑茶の栽培」です。口内炎には緑茶が効くという話がしばしば聞かれるので、そのような効能を狙って、健康緑茶の栽培を訴えているのかと思いきや、「私自身若い頃から緑茶による口内炎に脳まされてきました」(原文ママ。おそらく悩まされてきましたの間違いだと思います)と書かれており、緑茶が口内炎を起こすと記されています。この対策として、防虫剤を使用しない無農薬栽培の緑茶であれば、口内炎にならないとしており、このような緑茶栽培を提案しています。

このように「新型電気自動車の開発」と「口内炎にならない健康緑茶の栽培」という2つの提案を行った武田文明ですが、得票数163票(総有効投票数47,262票、無効票691票)で11人中11位(定数8)で落選という結果*1に終わってしまいました。